鳩山政権が法律による設置を約束している「国と地方の協議の場」について、鳩山由紀夫首相ら関係閣僚と全国知事会など地方6団体の代表が意見交換する会合が16日、首相官邸で開かれた。
 政権発足後、政府と地方6団体による公式協議は初めて。地方側は「協議の場」の具体的な制度設計や、設置法案の早期の国会提出などを政府に求める方針。
 鳩山首相は「率直な意見交換をしながら、国と地方の在り方を根本的に見直していく。その一環としてこの場を設けた」とあいさつした。会合ではこのほか、来年度予算編成でガソリン税暫定税率を廃止することに伴う地方の減収補てん策や、地域主権改革の具体策などをめぐり意見を交換。この日の参加者は、政府側が首相のほか菅直人国家戦略担当相、平野博文官房長官原口一博総務相藤井裕久財務相仙谷由人行政刷新担当相。地方側は麻生渡全国知事会長(福岡県知事)、森民夫全国市長会長(新潟県長岡市長)、山本文男全国町村会長(福岡県添田町長)ら。

同記事では,地方六団体の「代表」と政府関係閣僚間での意見交換が行われたことを紹介.現政権が示した「地域主権」及び「国と地方の協議の場」という「ドクトリン」*1の具体的な制度化に向けて,「まずセット」された「国と地方との意見交換の場」*2.当日の出席者に関しては,下名の「民主的正統性に関して不均衡」*3という紀優は兎も角,全国知事会HPを参照*4
ただし,当該会合に関するHPの存在は把握できず,当該会合における審議課題*5及び審議内容はもちろん,制度的根拠等の基本的な内容も,現在のところ,把握ができない,残念(そもそも,当該会合の名称は,首相官邸HPの「首相の動き」の項目及び上掲の全国知事会HPには「国と地方の協議」と記述されおり,また,首相官邸HPの「首相の動き」の本文中には「国と地方の意見交換の場」ともありますが,正式にはどのような名称なのでしょうか).要確認.
そのため,各紙を拾い読みし,状況把握.2009年11月16日付の時事通信による配信記事によると,「法制化の具体的な制度設計を話し合うため,実務者レベルの作業チームを設置するよう提案」され「総務相が同意」に至り,「来年の通常国会への法案提出を視野に,近く作業チームを発足させて検討を開始」*6する方針とのこと.また,2009年11月17日付の読売新聞の報道によると,「年内をメドに,「地域主権改革」のための工程表」を「地方側と共同」で「策定」する「考え」*7総務相より示された,という.また,2009年11月17日付の日本経済新聞では,「協議の場の法制化に向け,国と地方の代表が参加する作業チーム」*8を設け,更には「「ひも付き補助金」の一括交付金化や国の出先機関の原則廃止に向けた道筋を示す工程表を年内に作成」されるとも報道.
審議は,同「国と地方の協議」(又は,「意見交換の場」)で行われるとしても,具体的な審議は,その「実質化」に向けて,2008年9月2日付の本備忘録において,市町村と都道府県間関係に関連して言及したように,「二層の協議機構」の整備される模様.ただ,当該作業チームへの,参画主体としては,「実務者」や「代表」と,各紙の報道により,若干その表現が異なる.例えば,2009年11月12日付の共同通信により配信されてた,「試案」である「首相を議長に,国側は官房長官総務相財務相と首相が指定する閣僚,地方側は全国知事会全国市長会などの代表者が参加.協議事項は,自治体に対する国の関与や地方交付税の見直しなども列挙し,政府がこれらの施策の企画・立案する際には,協議の場での議論と調整を義務付ける」という案を検討されている「全国知事会のプロジェクトチーム」*9が参画する場合,同知事等は「実務者」と「代表」の何れと整理されるのだろうか.
いずれにせよ,同「国と地方の協議」(又は,「意見交換の場」)のその具体的な審議体制を含めて,要経過観察.

*1:牧原出『行政改革と調整のシステム』(東京大学出版会,2009年)20頁(これもまた,「「行政」のドクトリン」(270頁)というよりも,寧ろ「「政治」のドクトリン」(同頁)としての色彩を持ちそうですが).

行政改革と調整のシステム (行政学叢書)

行政改革と調整のシステム (行政学叢書)

*2:首相官邸HP(総理の動き平成21年11月)「国と地方の協議

*3:松井望「国と地方の協議の場」のもう一つの課題京都府HP(府政運営・方針京都府の地方分権改革)『京都府分権メルマガ「縦横無尽」』(第14号・2009年9月号)

*4:全国知事会HP(地方六団体の活動記者会見・要望・声明・コメント)「国と地方の協議について

*5:首相官邸HPには,地方分権改革推進委員会による勧告のうち,2009年11月10日付の本備忘録でも言及したように,その表現振りに濃淡が見られる「内閣総理大臣の談話」において,『第3次勧告』に対する「内閣総理大臣の談話」が「関連リンク」と(限定?)されていることからすると,同勧告に限定されたうえで,その具体化に関して課題が収斂されているのだろうか

*6:時事通信(2009年11月16日付)「「協議の場」法制化で作業チーム=事業仕分けも議論−政府と6団体が初会合

*7:読売新聞(2009年11月17日付)「国と地方の協議の場、法制化へ作業チーム

*8:日本経済新聞(2009年11月17日付)「国と地方の協議、法制化へ初会合 政府、地方代表者と

*9:共同通信(2009年11月12日付)「地方税など14項目がテーマ 国と地方の協議の場で試案