徳島県は26日までに、「審議会等の設置・運営マニュアル」を策定し、各課に周知した。内容が形骸(けいがい)化している会議の原則廃止や委員全員の意見が得られるような議事運営の創意工夫などを求めている。厳しい財政状況の中、「無駄」との批判もある審議会の在り方を見直し、議論の活性化を図るのが目的だ。
 マニュアルでは、設置や廃止、委員の任免、運営などに関する方針や具体的な対応を提示。設置条件を▽類似の審議会などで対応できない▽設置しなければ具体的な支障が出る−などに限定。既存の審議会に対しても、県要綱で「3年間実績がないもの、設置後10年間を経過するものは再検討を行う」とする規定の周知を徹底。その上で各課に見直しを求め、開催実績が年間1回で主な内容が県側の説明や報告のみとなっているなど、形骸化していると認められた場合は原則廃止の方針を示した。
 運営面では、委員への資料の事前配布や代理出席の原則禁止などを盛り込んだほか、活発な議論を促した。会議によっては、全く発言しない委員もいるためだ。県が位置付けている「審議会等」は、食の安全安心審議会など法律や条例に基づいて設置される「付属機関」と専門的立場からの意見や提言を受けるため要綱で設置された「協議会等」に分かれる。8月1日現在、付属機関は64、協議会等は46。委員数は延べ約1300人。報酬は、付属機関委員が非常勤特別職としての位置付けで日額9000円。協議会等委員は特に規定はない。審議会等数は2006年は127だったが、09年は110に減少。ただ、設置の存廃や開催回数、会議の在り方に関しては担当課に任されており、議論の充実度に温度差があるという。マニュアル策定について、県新行政体制整備課では「これまでも適正な運営に努めてきたが、一層の活性化を目指して基本的なポイントを整理した」と話している。

同記事では,徳島県において,「審議会等の設置・運営マニュアル」を策定され,庁内各課へ周知されたことを紹介.同県における審議会等の現所については,同県HPを参照*1
各部・委員会毎に整理・提示された会議数を数えてみると,まずは,「保健福祉部」は29会議と最も多く,次いで,「県土整備部」の21会議,第3番目には,「県民環境部」の15会議となる.その後は,「企画総務部」(12会議),「農林水産部」(10会議),「教育委員会」(9会議),「危機管理部」(6会議),「商工労働部」(4会議),「南部総合県民局」及び「北部総合県民局」(各々3会議),「出納局」(1会議),「病院局」(1会議)の順となる.全庁的な企画部門よりも,事業部門において比較的多く設置されている.
ただ,これらの会合を総計すると,114会議になるものの,同記事で紹介された「審議会等の設置・運営マニュアル」の対象と想定されており,同記事にて示された同県における「8月1日現在」の「付属機関は64,協議会等は46」という実数(計110会議)と比すると,4会議程多いのは,下名の数え方が適当ではないのだろうか.なお,同「マニュアル」については,現在のところ把握できず,残念(是非とも拝読したい一冊ですね).
「合議制原理によって,専門家たちの一種の綜合を試み,彼らを一つの集合体〔合議制機関〕にまとめようと企図」され,「行政の「脱主観性」のための」とはされたものの,「これがどれだけの成果をおさめるかは,一般的には断定できない」*2ともされ,場合によっては審議会という合議制という審議形態の「限界?」*3も想定されなくもない.一方で,「複雑でデリケートな問題については,審議会という,表舞台の政治からは少し距離を置いた場で,専門家や利害関係者が慎重かつ入念に議論し,調整してベストの解を探る」*4,「最終的な政治の場への決定の負担を減らすための「前さばき」の場」*5としての可能性も依然として高そう.同「マニュアル」を通じて,審議会という場がどのように見直し,活性化されるかは,要経過観察.

*1:徳島県HP(属性)「審議会等

*2:マックス・ウェーバー『支配の社会学Ⅰ』(創文社,1960年)129頁

支配の社会学 1 (経済と社会)

支配の社会学 1 (経済と社会)

*3:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『ホーンブック地方自治』(北樹出版,2007年)43頁

ホーンブック 地方自治

ホーンブック 地方自治

*4:森田朗『会議の政治学』(慈学社,2007年)176〜177頁

会議の政治学 (慈学選書)

会議の政治学 (慈学選書)

*5:前掲注4・森田朗2007年:179頁