農用地区域の指定除外に同意しなかった千葉県の対応を不服として、同県我孫子市総務相に申し立てた自治紛争処理委員の審査で、同委員は18日、県の手続きは地方自治法に違反しているとして不同意を取り消すよう勧告した。県が指定除外に関する基準を設けて公表し、2週間以内に市と協議を再開するよう求めている。
 同委員は自治体間の争いを有識者3人で協議する第三者機関で、今回は市町村が都道府県との紛争で審査を申し出た初のケース。勧告に強制力はなく、不服があれば自治体は高等裁判所に提訴できる。千葉県は「内容を精査し、対応したい」としている。申し立てによると、我孫子市は2月、地権者の要望に基づき市内の土地14・8ヘクタールの農用地区域指定除外について県の同意を求めたが、県は一部に土地改良事業が実施された個所があるとして同意しなかった。
 勧告は、県が許認可をする際には、あらかじめ基準を設けて公表することが地方自治法で義務付けられていると指摘。農用地区域指定除外について千葉県は同意の基準を設定、公表しておらず、不同意の判断は違法とした。

本記事では,総務省に設置された自治紛争処理委員による勧告内容を紹介.2010年2月25日付の本備忘録にて取り上げた本件に基づく同委員設置後の,同委員としての結論の提出.現在までのところ,同勧告に関しては,同省HPでは把握できず,残念.公表後,要確認.
2010年5月15日付の時事通信による配信記事も拝読すると「自治法上,同意の判断基準を設定・公表する義務があったのに,設定していないため,不同意が違法な関与と判断.県に,基準を設定・公表し,2週間以内に市との協議を再開するよう求めた」*1との勧告内容とのこと.同勧告内容に対しては,2010年5月19日付の東京新聞の報道では,当事者は「戸惑」*2と認識が示される,「応答的」*3ともいえそうな内容な模様.
同委員*4は,2010年3月18日に「第1回会議」*5が開催後,2010年3月26日に同委員による「証拠調べ」*6が行われ,その後,市側の「審査申出書」,県側の「答弁書」,第2回以降は県側から提出された「準備書面」と同書面に対する市側からの「反論書」に基づき,4月27日までに4回開催(同回以降は,開催されていないのでしょうか).ただ,その審議の内容については,「自治紛争処理委員の審査の手続に関する省令」第13条では「当事者等が出席する審査は,自治紛争処理委員が公開とすることを相当と認める場合に限り公開する」*7とは規定されてはいるものの,議事録・議事概要は公表されていない模様.
2009年5月13日付の本備忘録では「静かなる制度」の一つと整理した自治紛争処理委員.そして,2010年5月15日付の長崎新聞の報道では,「玄界灘壱岐水道海砂採取区域の境界」に関して「自治紛争処理委員の設置を総務省に申請する方針」*8が具体化された場合,同委員は,決して「ものいう制度」として,更に観察されるのだろうか.興味深い.