京都市が設置している審議会の委員に支払った昨年度の報酬合計額が計2億4400万円だったことが、市の調査で分かった。委員1人の年間平均報酬は7万3千円で、審議会1回当たり平均8万5千円の人件費がかかっていた。審議会は有識者や市民の意見を政策にいかす目的で設置されているが、審議会委員が増える傾向にあり、財政難から見直しを求める声も出ている。
 市の財政難解決を探る「財政改革有識者会議」の要求で、市が初めて調査した。市によると、今年3月末現在で175の審議会があり、委員3343人に昨年度、2億4412万円の報酬を支払った。大半は日当で、条例で定めた「2万2千円以内」で担当課が額を決めた。
 報酬総額が最も多かったのは、介護度を審査する「介護認定審査会」の1億7005万円。障害者の支援の必要度を決める「障害程度区分判定等審査会」の1407万円が続く。両会とも医師や福祉関係者で構成し、1回当たりの報酬は1人1万7200円。保健福祉局は「両会とも法で設置が義務付けられている。他都市と比べても報酬は高くない」とする。
市関係者によると、1回1万円が「相場」で、財政改革有識者会議の委員も同額だ。一方、門川大作市長の肝いりで設置された京都の将来像を探る「未来まちづくり100人委員会」は1日1千円。委員数が多いため、支払い総額は85万円。市は「事前準備も含め、苦労をかけている。報酬は適切だ」とする。
 市によると、「市民の市政参加」を掲げ、ここ5年で審議会数は2割増え、報酬支払額も膨らんでいるという。与党市議から「審議会の数が多すぎる。同じようなことを議論する会も複数あり、大幅な統廃合が必要だ」との指摘も出ている。

本記事では,京都市における審議会等の取組を紹介.同市に設置された審議会等の状況に関しては,同市HPを参照*1.同一覧に基づくと,「諮問機関が雑多」*2な性格によるものであるかは確認しなければならないものの,本年度は,現在,173会議が開催されている模様.
市民社会組織が影響力を発揮するルート」*3との分析結果が示される一方で,同ルートの維持(整備)には,報酬というコストもまた生じることとなる審議会制度.本記事で紹介されるように,同市では「京都市報酬及び費用弁償条例」第2条第1項15号に基づき,「附属機関の構成員その他非常勤の職員」については,「月額579,000円以内」,「日額22,000円以内」*4と規定.
一方で,本記事を拝読すると,上記の個別審議会等毎に多様な報酬が規定されているものの,「1回1万円が「相場」」であることも紹介(詳細な記録は,本記事でも紹介されております「財政改革有識者会議」*5にて公表されるのでしょうか,楽しみ).同「相場」へと安定化に至る背景としては,個々の審議会委員の活動量を想定された,単体規定的な判断によるものであるのか,又は,同条例においてあわせて規定されている個々の審議会委員への月額支給額の上限という,総額規定的な判断によるものなのか,はたまた,各設置される審議会への事業費に関する庁内での「相互参照と横並び競争」*6,面的規定によるものであるのか,他の自治体の動向を踏まえつつ,要確認.

*1:京都市HP「審議会等一覧

*2:牧原出『行政改革と調整のシステム』(東京大学出版会,2009年)266頁

行政改革と調整のシステム (行政学叢書)

行政改革と調整のシステム (行政学叢書)

*3:久保慶明「影響力構造の多元化と市民社会組織・審議会」辻中豊・伊藤修一郎編著『ローカル・ガバナンス』(木鐸社,2010年)

ローカル・ガバナンス―地方政府と市民社会 (現代市民社会叢書 3)

ローカル・ガバナンス―地方政府と市民社会 (現代市民社会叢書 3)

*4:京都市HP(市の組織行財政局各課の窓口法制課京都市例規集)「京都市報酬及び費用弁償条例」(昭和31年9月1日,条例第17号)

*5:京都市HP(市の組織行財政局各課の窓口財政課財政健全化推進本部会議・財政改革有識者会議)「京都市財政改革有識者会議

*6:伊藤修一郎『自治体政策過程の動態』(慶応義塾大学出版会,2002年)287頁

自治体政策過程の動態―政策イノベーションと波及

自治体政策過程の動態―政策イノベーションと波及