四万十市地域公共交通活性化会議が実施したバス利用に関する住民アンケートで、全体の41%が、利用したい時間に乗ることができる「デマンドバス」の運行を求めていることが分かった。また、バス路線の維持については31%が「年間1000円までなら負担できる」と回答した。
 アンケートは、バス交通の利用促進や改善策を探る目的で、今年9月に市広報誌などを通して実施。1590人が回答した。バス存続に必要な運行方式では、デマンドバスに次いで、「目的地まで乗り継ぎがない」(16%)、「1往復でも毎日運行」(13%)が多く、サービス面では「新しい商業施設や病院へ行けるように」(44%)、「運賃を安くする」(27%)などを求めた。自由意見では「山間部では車を運転できなくなればバスに乗るしかない」と存続を求める一方、「市が財政負担してまで必要ない」の意見もあった。
 「デマンドバス」を巡っては、田中全市長が選挙公約に掲げており、アンケートでも最も要望が多かったが、活性化会議は「路線バスの利用者が減ると、国の補助が削減され、市の負担が増える」「運行エリアが広がると、待ち時間が長くなる」などの課題を挙げている。

同記事では,四万十市において,同市地域公共交通活性化会議が実施した住民アンケート調査結果を紹介.「デマンドバス」に対する意識調査.調査結果の詳細は,現在のところ把握できず,残念.同記事を拝読すると,「41%」が同バスの「運行を求めている」との回答であったことが分かる.
同市の場合,新市建設前の中村市時代に,「当時利用者が少なかった循環バス路線(中村駅自由ヶ丘線)を基に中心市街地から3km四方内を最大15分程度で運行できるデマンドバスシステムの実験運行」を「平成12年4月から同年6月まで」実施され,その結果,「実証運行が利用者に好評であった」として,「平成12年7月から本格運行」*1されてきた「中村まちバス」の取組実績がある.一方で,「オンデマンド」を支えるシステム「更新のための財源確保は困難」「他の廉価なシステムへの代替も含めて検討が必要」*2との指摘もあり,同記事でも紹介されている財政面への考慮も,同指摘が反映された結果なのだろうか.
「全国的に拡大」しつつも「利用してもらえないコミュニティバスができてしまった」*3とも指摘されることもある「「地域公共」交通」*4としてのバス事業.同事業の課題の一つとして,「“交通空白(不便)地域”の解消であっても,既存の路線バスとの競合が問題」*5との問題認識も指摘されており,「デマンド交通」についてもまた「同じことが言える」*6ともされる.「デマンド」であるがゆえに,各種交通機関との相補性については,悩ましい課題.考えてみたい.

*1:国土交通省HP(総合政策公共交通活性化地域公共交通の活性化・再生への事例集全事例一覧)「四万十市 中村まちバス ITSの技術を活用したデマンドバス

*2:前掲注1・国土交通省四万十市 中村まちバス ITSの技術を活用したデマンドバス

*3:鈴木文彦「持続可能な生活交通へ」『都市問題』Vol.100,No.10,2009年10月号,74,76頁

*4:加藤博和「地方分権時代の地域交通政策」前掲注2・収録,52頁

*5:前掲注2・鈴木文彦2009年:75頁

*6:前掲注2・鈴木文彦2009年:75頁