神戸市の矢田立郎市長は24日、デザイン都市を推進する特別職「統括監」を新設し、神戸芸術工科大(同市西区)の齊木崇人(さいきたかひと)学長(61)を登用する、と発表した。
 齊木学長は、同大教授や副学長を歴任し、2008年から現職。専門は環境デザイン。非常勤の嘱託職員となり、各部局で行っているデザイン都市関連の事業を横断的に統括する。任期は来年1月1日から矢田市長の任期が切れる13年11月19日まで。民間人の幹部登用は、外郭団体のトップや管理職などを対象に進めてきたが、市役所本庁では初めて。10月の市長選で対立候補の1人に約8千票差にまで迫られたことから「『官主導』に対する批判の表れ」との指摘もあり、市内部などから幹部級ポストへの民間人登用の声が上がっていた。矢田市長は選挙後、デザイン都市を推進する幹部級ポストに民間人を登用する意向を明らかにしていた。(紺野大樹)

同記事では,神戸市における「統括監」の設置を紹介.2009年11月16日付及び同年同月25日付の同紙においても報道されていた「デザイン都市を推進する部署の幹部級ポストに,民間人を登用する」*1方針の具体化.
2009年10月23日付の本備忘録で記した,自治体における庁議制度という「自治体内会議」とともに,観察をさせていただいている対象が,自治体内における「○○監」との職名もつ職(ただし,下名の場合,一般職としての「○○監」に限定されておりますが).
同職の詳細に関して同市HPを確認させていただくものの,現在のところ,把握できず,残念.2008年10月16日に同市が「ユネスコ創造都市ネットワークに加盟」*2されたことを受けて,同分野における「関連の事業を横断的に統括」を目的とした同職の設置の模様.
同記事を拝読すると,同職は「特別職」の「非常勤職」として設置.2009年9月11日付の本備忘録において,制度的な観点から,各職に対する庁内外部からの常勤職としての登用制度の形態の類型化を,「非常勤職」にまでその形態を広げてみると,「非常勤・非同意職・専門系・任期付」の形態として位置づけることができそう.同形態の場合,庁内における「統括」業務を果たすうえでの頑強な職となるかは,興味深い観察点.特に,同記事にいう,同職の「統括」という所掌が指す,「統制の範囲(span of control)」に関する具体的な分掌状況次第とは想定されるものの,同職が同市における都市デザインに関する「最良の実践の先を見通す観測所」*3となるか,要経過観察.

*1:神戸新聞(2009年11月16日付)「神戸市副市長に中村、小柴氏 幹部級は民間人登用」及び神戸新聞2009年11月25日付)「副市長に初の民間人登用 神戸市長が表明

*2:神戸市HP(市政情報計画・事業デザイン都市・神戸ユネスコ デザイン都市に認定)「ユネスコ デザイン都市に認定

*3:チャールズ・ランドリー『創造的都市』(日本評論社,2003年)271頁

創造的都市―都市再生のための道具箱

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