長崎県南島原市は27日、副市長2人のうち1人を全国から公募すると発表した。2006年に旧8町が合併し発足した同市は、自主財源が歳入の19%と財政基盤が弱く、民間のコスト感覚を市政に反映させる狙いがあるという。同市によると、副市長の公募は九州の市では初の取り組み。
 5月に就任した藤原米幸市長が公約に掲げていた。藤原市長は「基幹産業の農業の衰退や、進展する過疎化などに豊かな発想で対応し、市の活性化に取り組む人を求めたい」と話している。対象は、民間企業などで経験を積み、来年4月1日現在で30歳以上。応募期間は10月1日−11月11日(必着)で申込書と課題論文を提出する。選考は12月中旬。副市長の年収は約1千万円。南島原市人事課=050(3381)5021。

本記事では,南島原市において副市長職候補者の公募を開始されることを紹介.
2009年6月3日付同年7月24日付同年8月22日付では豊岡市2009年8月8日付同年9月9日付同年10月16日付では瀬戸内市,そして,2010年1月8日付同年2月15日付同年3月14日付,同年4月18日付同年5月30日付では松阪市における同職候補者の公募の取組.同職候補者の公募に関しては,同市HPを参照*1
同職候補者の「応募資格」としては,5項目が提示されており,まずは,同「市の目指すまちづくりに,民間等における職務経験を活かし,深い見識,豊かな発想力,行動力と熱意を持って行政経営に取り組んでいただける方」であること,そして,「日本国籍を有し,平成23年4月1日時点で満30歳以上の方」,ただし,「性別,学歴は不問」であるとのこと,第三に「民間の企業等での経験を有する方」であること,第四に「就任後は市内に居住できる方」,ただし,「現住所には特に居住地要件」は設けられていない,最後は,「地方自治法第164条及び地方公務員法第16条に規定する欠格条項に該当しない方」とあり,「平成22年10月1日(金)から平成22年11月11日(木)まで」が「応募期間」とされている.同資格要件でいう,「民間等における職務」,「民間の企業等」等に関しては,あくまで概括的な規定に止まっているものの,同資格要件でいう「民間等」及び「民間の企業等」の範疇はどの程度まで含まれることを想定されているのだろうか.興味深い.
これらの資格を判断されるうえでも,募集者には「南島原市副市長候補者公募申込書(写真貼付必要)」とともに,「これまでの経験を生かし,副市長として南島原市の活性化に取り組みたいこと」をテーマとした「課題論文」が「A4縦サイズ用紙に横書き・パソコン入力又は自筆」で「4,000字以内」で作成,提出することが求められている.同職候補者としての「選考方法」は2段階方式が採用されており,まず,「第1次選考」では,上記の「申込書及び課題論文により選考」され,「選考結果は応募者全員に平成22年12月中旬に文書にて通知」される.その後,「平成22年12月中」に「第2次選考」が行われ,「選考委員」(どのような方々が選考委員となられるのでしょうか)により「第1次選考合格者」への個別面接により選考」される予定とある.同「市議会に選任同意議案」への提出時期については,記載されていはいない.ただ,その「選考結果は速やかに文書にて通知」とも記載されており,年内には,同職候補者としては確定されるのだろうか.同市における今後の選考過程もまた,要経過観察.
同職候補者の「任期」は,「市議会の同意を受けた後,選任を受けた日から4年間」となり,「給与」は「「南島原市長及び副市長の給与に関する条例」及び「南島原市長等の給与の特例に関する条例」の規定に基づき支給」され,参考として示されている「H22.9.1現在」の「給料月額」が「644,100円」,「期末手当」は「年間3.1月分」となり,これらは,「就任日や在職期間に応じて減額される場合があ」るとされる.通常の執務における「勤務時間等」は,「勤務時間,休暇の定め」はないものの,「常勤の特別職として勤務」されることとなる.
首長の,いわゆる「右腕」*2の選任においては,地方自治法第162条に基づき,首長から提出の議案に対して,議会において「諾否を決する」*3ことを義務付けられてる議会同意制度の下にある同職.2008年4月20日付の本備忘録において言及したように,同職に対する議会同意制度が整備された背景と理由には,確かに,少なからず理解は出来るものの,2010年9月27日付の時事通信による配信記事を拝読させて頂くと,「議会による招集があり得る」との認識も今後,具現化されるとなれば,議会同意人事制度に関しても,やはり,2008年6月15日付2009年6月3日付2008年6月15日付2009年11月15日付の各本備忘録にて妄想してみたように,就任時への「事前統制」という議会の拒否権を維持するよりも,同職の解職に関する「業績投票」に基づく「事後統制」へと転換することが,「自由度の拡大路線」*4が持続されるとすれば適切とも考えられなくもなさそう.同種の議論も提示されることがあるのだろうか.要観察.

*1:南島原市HP(人事副市長候補者の公募について

*2:玄田有史佐藤博樹「人材育成がカギを握る中小企業の成長」佐藤博樹玄田有史『成長と人材』(勁草書房,2003年)40頁

成長と人材―伸びる企業の人材戦略

成長と人材―伸びる企業の人材戦略

*3:松本英昭『新版 逐条地方自治法第5次改訂版』(学陽書房,2009年)521頁

新版 逐条地方自治法

新版 逐条地方自治法

*4:西尾勝「四分五裂する地方分権改革の渦中にあって考える」『分権改革の新展開』(ぎょうせい,2008年)3頁.

年報行政研究43 分権改革の新展開

年報行政研究43 分権改革の新展開