松山市が市役所(松山市二番町)の会議室不足に苦しんでいる。先月末、無償で部屋を借りていた近くの県三番町ビルが閉鎖され、民間ビルの間借りを増やさざるを得なくなった。今年度の間借り料の総額は2500万円以上が見込まれており、昨年度までの2倍以上に膨らむことが余儀なくされている。【中村敦茂】
 市によると、05年の旧北条市、旧中島町との合併で増加した職員の執務スペースを、市役所の会議室を事務室に変えることで確保した。そのため会議室が不足し、同年から近隣の民間2ビルの3室を年間約1000万円で借りた。更に、市役所南隣の市有地に建つ県の三番町ビルでも、無償で借りた4階フロアに5室を会議室として利用するなどでしのいできた。
 しかしこれら庁舎外の部屋を使っても、1室の平均利用率(利用日数を開庁日数で割った割合)は慢性的に100%を超過していた。県が先月末で老朽化した三番町ビルを閉鎖したため、今月から近隣の別の2ビルの部屋を借り7室を設けており、年間1500万円以上の負担が新たに発生している。
 市管財課は「時間をずらすなど会議室の効率的な利用に努めているが、非常に不足している。新たな間借りは仕方がない」としている。

本記事では,松山市における会議室利用の現状について紹介.
同市HPにおける「庁舎案内」を拝見させていただくと,同市は「本館」「別館」「第2別館」「第3別館」が同一敷地内に配置されており,その他に,「第4別館」と「公営企業局庁舎」*1.同案内図をもとに,各館内における会議室数を確認すると,「本館」*2は8室,「別館」*3は0室(議会応接室は6室),「第2別館」も0室,「第3別館」*4は1室,「第4別館」も0室,「公営企業局庁舎」*5は2室.このように,「会議室」という名称を置く庁舎空間は10室となる.
一方で,同市の平成21年度における「会議結果」*6の確認を試みてみると,例えば「審議会」等の会議は,同年度内で,127回開催されていることが分かる.ただし,上記会議室以外を会場とする場合も多く,同数には,もちろん,審議会以外の「自治体内会議体」として,日常の執務に要する会議体は含まれない.そのため,本記事において報道されている現状にあることが想定されそう.2008年12月7日付の本備忘録において項目立てを行った本備忘録の妄想的・断続的観察課題のひとつ「庁舎管理の行政学」における「第4章:執務と憩いの空間としての庁舎」の観点からは,悩ましい事例.
会議空間の不足を補う選択肢としては,2路線が想定.まずは,本記事で紹介されているように「庁舎外の部屋」の利用路線である.ただし,自治体が保有していない施設利用の場合,金銭的コストが発生することは不可避となる.一方で,「会議は膨大な費用がかかっている」*7こと等からも,「早く終わる会議は良い会議」*8の如く,会議室利用可能範囲に合わせた会議運営の設定を図る路線もある.ただし,例え,「終了時刻を宣言」*9した場合でも,開催後の審議の収縮度,会議運営次第では,会議室利用の延滞化は不可避ともなる.
本記事,「庁舎管理の行政学」の観点のみならず,2009年10月23日付の本備忘録にて記した,下名の中心的観察課題である「自治体内会議体」の観察とも.(何故だか)合流する課題となり,興味深い.

*1:松山市HP「庁舎案内

*2:松山市HP(庁舎案内)「本館

*3:松山市HP(庁舎案内)「別館

*4:松山市HP(庁舎案内)「第2、第3別館

*5:松山市HP(庁舎案内)「第4別館・公営企業局・市保健所・消防合同庁舎

*6:松山市HP(行政改革推進課松山市の審議会等情報)「会議録

*7:八幡紕芦史「こうすればうまくいく会議の技術 その会議は本当に必要か?01」『ガバナンス』No.96.2009年4月号,119頁

ガバナンス2009年4月号

ガバナンス2009年4月号

*8:森田朗『会議の政治学』(慈学社,2007年)2頁

会議の政治学 (慈学選書)

会議の政治学 (慈学選書)

*9:八幡紕芦史「こうすればうまくいく会議の技術 会議を時間通りに終えるには・・・?03」『ガバナンス』No.98.2009年6月号,116頁

ガバナンス2009年6月号

ガバナンス2009年6月号