藤沢市は22日、7月に実施する市の事業仕分け作業について、公募などで選ばれた「市民評価員」に参加してもらい、意見を反映させると発表した。市民の意見を直接取り入れる仕分けは全国でも珍しい。【永尾洋史】
 市民評価員は、地区ごとに市民が課題を話し合う地域経営会議からの13人、市内4大学の学長がそれぞれ推薦した学生4人のほか、7月までに決定する公募枠の11人を併せた計28人からなる。
 市民評価員は仕分け対象候補事業のリストアップに参画できるほか、仕分け作業中に意見表明もできる。仕分け作業は7月17・18日、同市役所で行う。「仕分け人」役はNPO構想日本」メンバーと市外部評価委員会委員、市行政経営改革協議会委員の計12人が2班に分かれ、市民評価員の意見を尊重して事業の妥当性を決定する。
 同市は昨年11月の政府の事業仕分けに先駆け、同年7月に仕分けを実施。26事業をふるいにかけ、約5400万円の予算をカットした。今年は約50事業を対象として、より高い成果を期待している。
海老根靖典市長は「昨年、傍聴していた市民から『反対の声を聞いてくれない』『問答無用はおかしい』などの意見が出たため、市民の声を吸収する制度を考えた」と話す。同市の仕分けのもう一つの特徴は、廃止・改善などと項目別に決めるだけでなく、類似事業を集め、旧事業の無駄な部分をすべて廃止するかわりに必要性の高い新事業をつくる点。昨年の26事業を20事業に統廃合した。市は「この方法も藤沢独自」と説明しており、今年の仕分け作業でも「さらに柔軟に発展させたい」と話している。

本記事では,藤沢市における事業仕分けの取組について紹介.
2010年4月23日から実施されている国における,いわゆる「事業仕分け第2弾」*1.同事業は,「公開性」*2こそが特徴との認識から,今回は「5社」による「インターネット」での「中継」*3が提供されているとともに,当日は,「計約250席ある一般傍聴席」*4に対して,「約700人の傍聴者が詰めかけた」*5とも報道.
本記事では,同市における「事業仕分け」事業において,傍聴という無言の「眼差し」*6による規律づけに止まらず,評価に加わる住民を公募される「市民評価員」制度の導入を紹介.同制度の詳細については,同市HPを参照*7
同制度を通じて,「事業仕分けを実施する事業の選定」に関する「意見」と「事業仕分け当日に参加」による「意見」という,課題設定時点と実施時点の2回の評価機会が提供されていることが分かる.同制度を採用された背景に関しては,本記事を拝読すると,2009年度に実施された「事業仕分け」事業において「「昨年,傍聴していた市民から『反対の声を聞いてくれない』『問答無用はおかしい』などの意見が出た」ことを踏まえて,「市民の声を吸収する制度」」として,同制度が整備された,という.同市HPを拝読すると,後者の実施時点での評価は,各事業についての5分間の「事業説明」後,20分間の「質疑応答・議論」を「傍聴」された後に,5分間で「市民評価員意見表明」の機会が提供される仕組み(いわゆる「仕分け人」とは,区分された位置づけであることを想定されているのですね.なるほど).「仕分けの結果」は,同「市民評価員意見表明」を「参考」にされつつ,「仕分け人」が「多数決」で決定されることとなる.
勿論,事業説明側,「仕分け人」,「市民評価員」のうち,後者2者が同一見解の場合には,「参考」手続を通じて,「仕分け人」への見解への後方支援的効果となることが想定されそう.ただ,3者が不一致,又は,「市民評価員」のみが,不一致の見解が示された場合(事業説明側と「仕分け人」が「ほぼ」一致した場合),はたまた,「仕分け人」のみが不一致の見解が示された場合等においては,勿論決定は「仕分けに人」による「多数決」ではあるものの,どのように「市民の声を吸収する制度」として「参考」手続が実施されるのだろうか,興味深そう(国での「事業仕分け」事業は兎も角,同市の同事業に関しては,実際に伺ってみようかなあ).

*1:内閣府HP(行政刷新会議事業仕分け)「事業仕分け (平成22年4〜5月)」なお,同会議のURL.2010年4月20日より,http://www.cao.go.jp/sasshin/から,http://www.shiwake.go.jp/へ変更.「名は体を表す」ではありませんが,同会議の設置目的である「国民的な観点から,国の予算,制度その他国の行政全般の在り方を刷新するとともに,国,地方公共団体及び民間の役割の在り方の見直しを行う」ことの「手段」とも整理される「事業仕分け」が,URLとして用いられており,興味深い

*2:枝野幸男『「事業仕分け」の力』(集英社,2010年)50頁

「事業仕分け」の力 (集英社新書)

「事業仕分け」の力 (集英社新書)

*3:毎日新聞(2010年4月24日付)「事業仕分け:第2弾 民間5社ネット中継、カード番号要求に批判

*4:日本経済新聞(2010年4月23日付)「事業仕分け、傍聴席は開始前から満杯「参院選投票の判断材料に」

*5:毎日新聞(2010年4月23日付)「事業仕分け:第2弾傍聴に700人 「マンネリ」批判も

*6:ミシェル・フーコー『監獄の誕生』(新潮社,1977年)118頁

監獄の誕生 ― 監視と処罰

監獄の誕生 ― 監視と処罰

*7:藤沢市HP(総合案内計画・施策行政改革)「「藤沢市事業仕分け」に参加される市民評価員の募集について 平成22年度 藤沢市事業仕分けに参加しませんか?