政府は30日、地域を限定して規制緩和を認める「構造改革特区」制度を拡充した「総合特区」制度を2011年度に設ける方針を決めた。現行制度の規制緩和に加え、税制優遇や財政支援などの措置を可能にするのが特徴。政府が6月に策定する新成長戦略の柱に据える。
 政府はまた、制度創設に向けて来年の通常国会で関連法案の成立を目指す。この日、開かれた政府の国家戦略室のヒアリングで、大塚耕平内閣府副大臣が構想を表明した。
 総合特区は(1)医療分野など国際レベルの競争に勝てる大都市数カ所を指定する「国際戦略特区」(2)地域の特色ある産業の育成などを促す「個性創出特区」−などで構成。特区内では規制緩和に加え、諸外国を手本とした法人税の優遇措置や財政支援のほか、国からの権限移譲などの実施を検討している。構造改革特区制度は02年度に開始。これまでに653件の提案が実現しているが、財政面の支援措置がないことなどが敬遠され、近年は提案・実現件数が低迷していた。

本記事では,内閣府において,構造改革特区制度を「拡充」された「総合特区」制度の導入する方針であることを紹介.
本記事でも「近年は提案・実現件数が低迷」と評されている「構造改革特区」.「主要項目の出揃い」,「提案疲れ」,「提案・協議過程における所管省庁に対する提案の理解や見解のすりあわせに困難さ」が指摘されている*1等の課題も指摘されている.本記事にて報道されているように,内容面での「拡充」もまた一つの方策ではある一方で,上記課題のうち「提案・協議過程」もまた,一つの隘路とも想定されなくもない.
「総合特区」制度構想に関する情報は,現在のところ,新聞報道のみではあるものの,本記事では,「大都市数カ所を指定」,更には,2010年4月30日付の日本経済新聞による報道では「東京湾岸や阪神地区の沿岸部に医薬産業を誘致する案」*2とも報道.国による「指定」が主となる場合,特区という「特例主義」の制度に内在するともされる「全国展開を志向する普遍主義」*3は,「特例主義」という慣性モーメントのままとなるだろうか.「総合特区」制度構想における提案・協議過程を通じて,「熾烈の度を加える」「陳情」(申請でしょうか)「合戦」*4へと結びつくかは,要観察.

*1:西尾勝監修・東京市政調査会研究室編著『検証構造改革特区』(ぎょうせい,2007年)297〜298頁

検証 構造改革特区

検証 構造改革特区

*2:日本経済新聞社(2010年4月30日付)「特区、税財政でも優遇 政府方針

*3:金井利之『自治制度』(東京大学出版会,2007年)216頁

自治制度 (行政学叢書)

自治制度 (行政学叢書)

*4:升味準之輔『日本政治史4占領改革、自民党支配 』(東京大学出版会,1988年)292頁