花巻市は26日、市内を27コミュニティーの集合体に位置づける合衆市構想について、コミュニティー役員との意見交換会を始めた。参加者からは将来的に市職員が地域からいなくなる不安や、コミュニティーの代表者と行政区長の役割分担などに意見が相次いだ。
 初日は同市大迫町の3カ所のコミュニティーで開かれ、内川目地区では住民約15人と市から伊藤盛幸地域づくり課長らが出席した。合衆市構想は市と各コミュニティーの協働による地域づくりの強化が目的で、2011年度からスタート予定。構想案で、住民側は▽常勤事務局員の配置によるコミュニティー会議(住民組織)の体制充実▽振興センター(行政機関)の庁舎の指定管理と証明書取り次ぎ―を担う。一方、行政は▽(仮称)合衆市条例を制定し、コミュニティー会議会長を市の非常勤特別職の「地区長」に委嘱▽振興センターの市職員2人から1人体制への移行―を図る。
 参加者からは「市は地域から人を引き揚げ、(地域づくりを)地域に投げる不安がある」「地区長の責任が重くなる。行政区長との関係を明確にすべき」などの意見が出た。市は8月5日まで全27コミュニティー意見交換会を開き、9月に同条例素案を作成する方針。

本記事では,花巻市における「合衆市構想」の審議状況について紹介.寝ぼけ眼で,同記事のリードを斜め読みさせて頂いたため,花巻市が更に合併して,新しい市の名前を選定されたのかなあ,と思いつつよくよく本記事を拝読すると,花巻市内のコミュニティーにおける取組の模様.同構想に関しては,「平成22年3月議会」における「市長演述」を参照*1
同市では,2006年1月1日の新市建設以降,「将来に向かって発展し続けることができる確かな自立した自治体の構造.姿を創り上げておくこと」を目的に提示された同構想.「市内の27の地域を小さな州にたとえ」,「小さな州の集合体が花巻市という自治体」として捉え,そして,現実にも,その「一つひとつの州は自立した結いの社会を営」み「州と市行政との協働でまちづくりが進められてい」るとの現状認識から,「それぞれの地域が主体的に個性を発揮できる安定した仕組み」として,「現在のコミュニティ会議と振興センターの内容や位置付けを条例で再整備」し「コミュニティ会議の会長の身分を保証」するとともに,「コミュニティ運営の財政基盤を整え」*2ることをその内容とされている.
より具体的には,2010年度の同市の「まちづくり部長経営方針」を拝読させていただくと,「合衆市イーハトーブ花巻構想の制度構築」に関しては,同部長より3項目の方針が示されており,まずは,「(仮称)コミュニティ自治区条例の制定」,次いで「27振興センターの指定管理」,最後に「振興センターの整備方針など」*3とある.本記事では,以上の項目に関連して,「(仮称)合衆市条例」,「コミュニティー会議会長を市の非常勤特別職の「地区長」に委嘱」,「振興センターの市職員2人から1人体制への移行」が提案された模様.
いわば,「単一政府の下の連邦とするより,いくつかの地域的連合に分割」*4とも整理が可能そうな同構想.「まちづくり部長経営方針」段階における「(仮称)コミュニティ自治区条例」と,本記事で紹介された「(仮称)合衆市条例」との相異はどの程度あるのだろうか,興味深そう.今後の検討状況は,要経過観察.

*1:花巻市HP(政策推進部広聴広報課(報道)市長演述トップ)「平成22年第1回花巻市議会定例会市長演述要旨

*2:前掲注1・花巻市(平成22年第1回花巻市議会定例会市長演述要旨)

*3:花巻市HP( 政策推進部企画調整課平成22年度 部長・総合支所長経営方針 )「平成22年度まちづくり部ビジョン 」3頁

*4: アレグザンダー・ハミルトン, ジョン・ジェイ,ジェイムズ・マディソン,『ザ・フェデラリスト』(福村出版,1988年)4頁

ザ・フェデラリスト

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