市長など特別職も育児休暇や介護休暇を取ることができるようにと、龍ケ崎市が新たな条例案を九月定例市議会に提案する。同市はこれまで男性職員の育児休業取得率がゼロで、取得しやすい環境づくりが狙い。可決されれば県内初の条例制定となり、同月下旬から施行する。(坂入基之)
 新条例案は、市長と副市長が配偶者の出産や育児、家族の介護のために休暇を取得する際、公務の全部または一部を免除するとした。将来の女性市長誕生を想定し、休暇に期間の定めは設けない。同市は条例で職員に三年間の育児休業を認めているが、休んだ男性職員はいない。こうした現状に「子育て支援策」を公約に掲げ、今年十二月に第二子の誕生を控えた中山一生市長(47)が「率先して休暇を取れば、男性職員も休業しやすくなるのでは」と新条例制定を発案したという。東京都文京区長が今春、自治体首長で初めてとされる育児休暇を取ったこともきっかけになったようだ。
 中山市長は「第二子が誕生したら、休暇を取ります」と宣言している。

本記事では,龍ケ崎市において,同市の特別職の育児・介護休暇に関する条例を制定する方針を紹介.
2010年3月11日付の本備忘録でも取り上げた,文京区長による育児休暇取得の取組.同区では,その後,同年6月の「第2定例会」にて「可決」した「文京区長及び副区長の出産,育児及び介護の期間中の公務に関する条例」の「議案概要」では,「区長及び副区長が,率先して出産,育児及び介護に要する時間を確保する時間を設け,公務と家庭生活の両立を図ることにより,広くワーク・ライフ・バランスへの取り組みを推進する」*1ことが目的とされている.
本記事では,「休んだ男性職員はいない」現状に対して,2010年8月21日付の読売新聞を拝読すると,同市長による発言として,「文京区長の先例が大きなきっかけ」とも紹介されており,同市「条例案」でも「育児や介護,出産に要する時間を確保する期間を設け,仕事と生活の調和を意味する「ワーク・ライフ・バランス」の推進が目的」*2と,同区の同条例案の制定目的とは共通の模様.
男性職員の育児休暇の取得に対しては,「職場の管理者の裁量に任せるのではなく,人事管理部門としても対応策に関して管理職に情報を提供することが必要」*3ともされるなか,「シンボル政治」*4としての育児(介護)休暇は,特別職と一般職との執務形態の相違が想定されるものの,庁内の他(男性)職員への取得波及が観察されうるのだろうか.要経過観察.

*1:文京区HP(文京区議会可決された議案)「平成22年第2回定例会において可決された議案

*2:読売新聞(2010年8月21日付)「龍ヶ崎市長が育児休暇 12月予定 2週間 9月議会に条例案

*3:佐藤博樹・武石恵美子『男性の育児休業』(中央公論新社,2004年)90頁

男性の育児休業―社員のニーズ、会社のメリット (中公新書)

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*4:西岡晋「福祉改革の政治過程」 岡田浩,松田憲忠編著『現代日本の政治―政治過程の理論と実際』(ミネルヴァ書房,2009年)235頁

現代日本の政治―政治過程の理論と実際

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