鯖江市民主役条例の具現化を目指す市民有志の条例推進委員会は、市の公共的な事業の一部を市民が引き受けて企画運営できる「市民主役事業」の創設案をまとめ、21日に牧野百男市長へ提言する。行政と民間の役割を見直す市民発の試みは県内でも珍しい。「新しい公共」の制度設計を巡る国の議論に先駆けて“鯖江型モデル”を提起し、来年度からの本格実施を求めていく。
 市の公共サービスのうち、市民活動団体や地域コミュニティー組織などが事業の担い手となることで、従来より住民サービス向上が見込める事業を選び、市民から改善策を公募する。改善策は有識者らで構成する審査委員会を設けて検討し、認められれば事業予算を提案者に一括委託、もしくは民営化する。公募対象の事業を選び出す専門委員会も設け、市の事務事業を(1)市民が自ら実施可能(2)行政と市民が協働で実施(3)行政が責任を持って実施−に3分類。最終的には806の全事務事業を、いずれかに仕分ける方向性を打ち出している。牧野市長は本紙の取材に「市民主役の本格的な動きを感じる。本気の取り組みに期待している。提言を実現させる方向で受け入れたい」と歓迎。庁内の政策会議で諮り、実現に向けて検討していく意向を示した。 (田中宏幸)
 【鯖江市民主役条例】 市民が主体的に市政運営に参画するまちづくり実現のため、行政と市民が取り組む努力事項を12条にまとめた理念条例で、4月に施行。条文は市民による条例策定委員会が起案。施行後は策定委員を中心にした条例推進委員会が7月に発足している。

本記事では,鯖江市において制定された「市民主役条例」の実施状況を紹介.2010年7月10日付の本備忘録で紹介した同条例.腰の「事業の一部」を「市民が引き受けて企画運営」される「市民主役事業」の「創設」に関して提案,同提案に関しては,同市HPを確認をさせて頂いたところ,「ユーストリーム鯖江市チャンネル」にて,2010年10月21日より,市長への提言の提出状況が「配信」*1されている(自治体におけるユーストリームの利用は,どの程度広がっているのだろうか,要確認).
本記事を拝読させて頂くと「市の事務事業」を「市民が自ら実施可能」,「行政と市民が協働で実施」,「行政が責任を持って実施」との「3分類」に「仕分け」られて,「市民から公募」,「審査委員会」において「検討」後,「認められれば事業予算を一括委託」される仕組みの模様.2008年4月18日付の本備忘録にて取り上げた,杉並区における「杉並行政サービス民間事業化提案制度」が創設時には,事業提案と委託者は必ずしも一致しなかったことに対して,同提案では,本記事を拝読させて頂くと,提案者がすなわち実施者となる模様.文書による公表後,その詳細は,要確認.
上記3区分のうち,「市民が自ら実施可能」と「行政と市民が協働で実施」の量次第ではあるものの,「公務住民」*2として自ら提案される「市民」が増加された場合,「主役」と脇役との役割分担と「境界」*3設定は,今後,緩やかになっていくのだろうか.要観察.

*1:鯖江市HP(UST配信 市民主役条例推進委員会 市民主役事業第一次提案)「市民主役事業第一次提案

*2:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『ホーンブック地方自治』(北樹出版,2007年)223〜224頁

ホーンブック 地方自治

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*3:伊藤秀史「市場と組織 原理の相互浸透と企業の境界」伊藤秀史・沼上幹・田中一弘・軽部大『現代の経営理論』(有斐閣,2008年)97頁

現代の経営理論

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