東日本大震災の影響で宿泊客の減少に悩む別府市は3日、ツアーを企画した旅行業者に対し、宿泊客1人当たり千円を支給するなどの緊急対策費5千万円を、6月定例市議会に提案する本年度一般会計補正予算案に盛り込むと発表した。震災発生後から3月末までで、少なくとも3万3千人が宿泊キャンセルしており、市は「即効性のある対策が必要」と説明している。同事業は市旅館ホテル組合連合会が実施。市が全額を補助する。対象は7月から来年2月末までで、20人以上1泊以上の団体旅行などの条件を満たすツアーを企画した旅行業者。
 これまでの宿泊キャンセル分を補うため、4万人の集客を目指すほか、関西以西での広告宣伝費も盛り込んでいる。浜田博市長は「効果が確認されれば、さらに補正予算で追加することも検討する」と期待を寄せている。補正予算案にはこのほか、留学生やホテルに配布する英語版防災マップ作成費260万円や、認知症患者向けグループホーム整備費補助金4331万円などを盛り込み、総額1億4420万円。定例議会には、市暴力団排除条例など4議案も提案する。別府市議会の6月定例会は、10日開会の日程で議会側と調整している。

本記事では,別府市における補正予算案に関して紹介.「旅行業者」に対して「宿泊客1人当たり千円を支給する」ことを含めた「緊急対策費」を含めた補正予算案を提出される方針.
本記事を拝読させて頂くと,「20人以上1泊以上の団体旅行などの条件を満たすツアーを企画」された「旅行業者」への「宿泊客1人当たり千円を支給」される方針の模様.果たして,同記事で紹介されている「企画」という概念が,損失補填の目的を含めた,まさに「企画」のみにより支給されることが想定されているのか,はたまた,観光客の増加の目的を含めた,企画通りの実施(又は,企画に沿った実施)の際に支給されるものであるのか,同方針の具体的な要件,実施手続等を確認させて頂こうと,同市HPを拝見させて頂くものの,現在のところは公表されていない模様,残念.同市長による定例議会への「提案理由」*1等で公表された後,要確認.
「ONSEN」とローマ字標記が眩しく輝くユニークな名称をもつ,同市 ONSEN ツーリズム部観光まちづくり課が策定された,「平成21年観光動態要覧」を拝読させて頂くと,*2,「平成21年度」では「11,999,003人」と「前年比」で「104.2%」の増加.内訳を見ると,「日帰観光客数」が「8,346,658人」と「前年比」で「107.3%」の増加傾向,方や「宿泊観光客数」は「3,652,345人」と「99.7%」の減少傾向にあった.「発地別」では「県外客比率78.7%」とあり,「県外客」の多さが特徴の同市.ただ,同割合の中には,「発地別」と「日帰観光客数」及び「宿泊観光客数」間での相互関係が必ずしも明らかにならないため,場合によっては,近隣県からの「日帰」分も含まれることも想定されなくもない.本記事を拝読すると,「震災発生後から3月末までで,少なくとも3万3千人が宿泊キャンセル」ともあり,これらキャンセル分がどのような「発地」からものであり,そして,「宿泊客の減少」に至る「他の独立変数」*3があるものであるか,そして,何よりも,「宿泊客1人当たり千円を支給」という「現金主義(cash‐basis)」*4による経済的手法による効果もまた,要確認.

*1:別府市HP(市長の部屋へようこそ)「あいさつ・メッセージ

*2:別府市HP(観光まちづくり情報サイト観光統計)「平成21年観光動態要覧」(別府市 ONSEN ツーリズム部 観光まちづくり課,平成22年10月)

*3:谷岡一郎『データはウソをつく』(筑摩書店,2007年)92頁

*4:Michael Howlett.2010.Designing Public Policies: Principles and Instruments, Routledge:102.

Designing Public Policies: Principles and Instruments (Routledge Textbooks in Policy Studies)

Designing Public Policies: Principles and Instruments (Routledge Textbooks in Policy Studies)