昭島市議会は開会中の九月定例会で、本会議を議場ではなく市庁舎内の会議室で開いている。五日は一般質問が行われた。今夏の最大使用電力15%削減目標に対応した節電策の一環で、議員からは「議場は神聖」との異論もあったが、これまでに目立った混乱はないという。 (大平樹)
 市議会事務局によると、本会議の開会場所を議場から移す節電策は、多摩地域二十六市では初めての取り組みという。庁舎四、五階の吹き抜けとなっている議場に比べ、室内の面積が二百五十平方メートルから約二割減り、空調効率が向上。議場などを使わなければ庁舎全体で使う空調機器二台のうち一台を止めることができ、最大使用電力の7%にあたる五十キロワットを節電できるという。
 議場にしかない設備を補うため、いくつかの工夫を凝らした。議場で表示される市議の発言残り時間は、パソコンの画面を室内の壁に投影。議席上の氏名標は、議場から移した上で、衝撃で倒れないようにパソコン用の耐震シートを貼った。傍聴席もこれまでとほぼ同じ五十一席を確保した。議長席が正面でなくなったこと以外は大幅な変更をせず、費用もかからなかった。市は節電のため市民への庁舎内ホールの貸し出しを中止している。西野文昭議長は「議場は神聖なものだ、と反対する意見もあったが、市民に負担をかけている以上、議会だけこれまで通りというわけにはいかない」と語った。十二月定例会での対応は決まっていないが「今回はあくまで緊急措置」と述べた。この日は傍聴者はなかった。九月定例会は八月三十一日に開会。本会議は十五日に再開して各委員会報告を行い、二十九日に一般会計補正予算案などを採決して、閉会する。

本記事では,昭島市議会における節電の取組を紹介.
「広報「あきしま」2011年8月1日・15日合併号」にて紹介されていたように,定例会開催に際しては,「電力消費を抑制するため」,「会議は402・403会議室で開催」*12009年8月31日付の本備忘録にて紹介した,財団法人東京市町村自治調査会による調査結果を確認してみると,東京都に位置する市町村のうち「多摩地域30市町村」のなかでは,「会議室数」が多い市町村として,羽村市(22部屋),武蔵野市(21部屋)に次ぐ,第3番目の会議室数(18部屋)*2を有する同市庁舎(なお,会議室面積では,武蔵野市が最も広く1,338㎡,次いで羽村市の1,303㎡,それ以降は小平市の1,103㎡,国立市の883㎡,八王子市の820㎡の順にあり,同市は上位5自治体には含まれていないこともわかる).
2008年12月7日付の本備忘録において項目立てを試みた本備忘録の妄想的・断続的観察課題のひとつ「庁舎管理の行政学」における「第4章:執務と憩いの空間としての庁舎」の観点(かな)からも,果たして,どのような会議室を利用されているのだろうかと思い,同庁舎の配置図*3を拝見させて頂くと,議場と同フロアー階の「4階」の2部屋を利用.機関対立主義という原理からか,それとも本記事にも記載されているように,傍聴者を含めたその収用スペース確保からか,執行部側のフロアでの会議室を利用されてはいない模様.
地方自治法第4条では,その設置に際して条例化が義務付けられている「地方公共団体の事務所」.方や,「議場」(正確には,議事堂ですが)に関しては,同法104条により,議長による「議場の秩序の保持」*4に関しては規定されいるものの,議場の設置に関しては,同法上必ずしも明記されていない.「日本の自治制度固有の概念」としての「二元的代表制」*5から考えれば,まさに「的」として,その概念的も,物理的も「議場」(議事堂)は,一所の「事務所」に包摂するものとして考えることが適当なのだろうか(執行部棟と議事堂が同一敷地内でのそれぞれの棟として設置されている場合,同一敷地内の同一「事務所」内での異なるフロアーで設置されている場合のいずれもしばしば見ることができますが,2009年9月19日付の本備忘録で記録したソウル特別市議会がまさにそうですが,異なる敷地で,各棟が個々別々に設置されている自治体はあるものなのでしょうか,要確認).
方や,その管理に関しては,「教育財産は教育委員会が管理」「企業用資産は企業の管理者が管理」*6されていることに比べると,「議場」(議事堂)は「地方公共団体の行政財産」*7とされ,その管理権は首長に属し,二元的ではなく(多元的ですが)一元的な管理とされている.仮に「二元的代表制」とすれば,議場の秩序維持のみならず,物理的な管理権限も議会(議長)が有することが適当とも考えられなくもなさそうか.議会活動と物理的空間との影響*8も考えてみたい観察課題.

*1:昭島市HP(広報「あきしま」)「2011年8月1日・15日合併号」No.983,2011年8月,5頁

*2:財団法人東京市町村自治調査会HP(調査研究活動)『多摩地域における庁舎機能等についての調査報告書〜庁舎に求められる機能を考える〜』(2009年3月)6頁

*3:昭島市HP(市役所フロア案内)「市役所4階配置図

*4:松本英昭『新版 逐条地方自治法第5次改訂版』(学陽書房,2009年)378頁

新版 逐条地方自治法

新版 逐条地方自治法

*5:今井照「二元「的」代表制か,二元代表制か」『ガバナンス』『ガバナンス』No.112,2010年8月,29頁

ガバナンス 2010年 08月号 [雑誌]

ガバナンス 2010年 08月号 [雑誌]

*6:前掲注4・松本英昭2009年:910頁

*7:大出峻郎『地方議会』(ぎょうせい,1977年)580頁

現代地方自治全集〈第3巻〉地方議会 (1977年)

現代地方自治全集〈第3巻〉地方議会 (1977年)

*8:Charles T. Goodsell.(2000).The American Statehouse: Interpreting Democracy's Temples,UP of Kansas:185

The American Statehouse: Interpreting Democracy's Temples (Studies in Government and Public Policy)

The American Statehouse: Interpreting Democracy's Temples (Studies in Government and Public Policy)