政府は9日、地方自治法の改正案を閣議決定した。今国会での成立を目指す。前市長と議会が対立し市政が混乱した鹿児島県阿久根市の例を踏まえ、地方議会の議長に臨時議会の招集権を認め、副知事や副市町村長の選任を専決処分の対象から外す。住民が議会の解散や首長の解職を請求するのに必要な署名数の緩和や、議会が通年会期制を導入できるようにすることも盛り込んだ。

本記事では,内閣において「地方自治法の一部を改正する法律案」が閣議決定されたことを紹介.同法案の「新旧対照条文」の内容は,総務省HPを参照*1.「地方議会制度」*2に関する改正事項が比較的多いことも,今回の改正案.
やや地味ですが,現在,同法第109条第1項第5号にて「常任委員会は,予算その他重要な議案,陳情等について公聴会を開き,真に利害関係を有する者又は学識経験を有する者等から意見を聴くことができる」,同条同項第6号にて,「常任委員会は,当該普通地方公共団体の事務に関する調査又は審査のため必要があると認めるときは,参考人の出頭を求め,その意見を聴くことができる」と置かれていた規定が,同法案の第115条の2と改めらている.つまり,同法案第1項で「普通地方公共団体の議会は,会議において,予算その他重要な議案,請願等について公聴会を開き,真に利害関係を有する者又は学識経験を有する者等から意見を聴くことができる」こと,そして,第2項で「普通地方公共団体の議会は,会議において,当該普通地方公共団体の事務に関する調査又は審査のため必要があると認めるときは,参考人の出頭を求め,その意見を聴くことができる」と規定されている.これにより,常任委員会に限定されることなく,「普通地方公共団体の議会」の「会議」が公聴会を開催し,「真に利害関係を有する者又は学識経験を有する者等」からの意見聴取が可能とされている.
自治体の本議会の場への「多様な制度を多段階に組み合わせる複合組織化の手法」ともなり,本会議での審議への利害関係,専門的知見の流入という「相互補足性」を図ることで,いわば「討議密度」*3を高めるうる効用も期待できなくもなさそうか.法制定後の運用状況は,要確認.

*1:総務省HP(所管法令国会提出法案)「地方自治法の一部を改正する法律案新旧対照条文

*2:総務省HP(所管法令国会提出法案)「地方自治法の一部を改正する法律案の概要

*3:篠原一編『討議デモクラシーの挑戦』(有斐閣,2012年)236頁

討議デモクラシーの挑戦――ミニ・パブリックスが拓く新しい政治

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