大阪市橋下徹市長は、条例や規則に加え、市役所の内部ルールである要綱についてもホームページ(HP)で全面公開する方針を決めた。「大阪府知事時代、霞が関の通達や要綱によりどれだけ地方行政が縛られているかを痛感した」という橋下市長は「市民に影響するルールは全てオープンにする」と意欲を見せる。
 市は現在、市議会の議決で制定する条例と、市長決裁で定める規則の計1242件をHPで公開しているが、各部局の裁量で定めている要綱については、行政運営上の内部規定で法的拘束力もなく、HPでは掲載していない。しかし、橋下市長は、市役所内の全会議の原則公開や、予算の編成過程などを全てHPで公表する「オープン市役所」構想を進めており、「要綱もフルオープンにする」と担当部局に指示。マンションや事務所を整備する際、高齢者や障害者も安全・快適に利用できるよう基準を定めた「ひとにやさしいまちづくり整備要綱」など、市民に直接関係する規定も多く、これら全てを掲載する。橋下市長は知事時代、全国学力テストの市町村別成績を公表しないよう通達した文部科学省に反発した経緯がある。他の政令市では、要綱を川崎市新潟市がHPで公開している。

本記事では,大阪市における「要綱」の公表の取組方針を紹介.現在,同市の「例規集」*1では,条例,規則を掲載.本記事を拝読させて頂くと要綱も掲載される模様.
政令指定都市での体系的(一元的)に要綱を公表されている自治体(見落としがあるかもしれませんが)は,本記事で紹介されている川崎市*2新潟市*3に加えて,相模原市*4浜松市*5京都市*6の3市も公表.下名も,いわゆる「自治体行政内規」を観察させて頂いく機会も多く,一つでも多くの自治体で公表されると,これはありがたい.
「継続反復して事務執行するための準拠文書」*7となる要綱.規程等が規定する「自治体行政内規」*8に基づく手続が,自治体行政内の「決定前提の受容」*9に至ることも考えられなくもない.公表により,奥の院にある自治体行政内の手続に対する眼差しを置く機会ともなりそう.公表後,要確認.

*1:大阪市HP(大阪市政)「大阪市の条例・公報

*2:川崎市HP(要綱)「要綱公表の取組

*3:新潟市HP「新潟市要綱集

*4:相模原市HP「条例・規則等

*5:浜松市HP「浜松市要綱集

*6:京都市HP(市の組織行財政局各課の窓口法制課条例・規則(京都市例規集・要綱等)「京都市の要綱等

*7:山口道昭「自治体における執行法務の課題」北村喜宣・山口道昭・出石稔・礒崎初仁『自治政策法務』(有斐閣,2011年)7頁

自治体政策法務 -- 地域特性に適合した法環境の創造

自治体政策法務 -- 地域特性に適合した法環境の創造

*8:兼子仁『変革期の地方自治法』(岩波書店,2012年)90頁

変革期の地方自治法 (岩波新書)

変革期の地方自治法 (岩波新書)

*9:ニクラスルーマン『手続を通しての正統化』(風行社,1990年)22頁

手続を通しての正統化

手続を通しての正統化