北九州市は25日、東日本大震災からの復興支援に職員派遣などの協力をしている岩手県釜石市住民基本台帳などの行政情報を、来年1月から北九州市の情報システムでも二重に保管することを決めた。震災では自治体のサーバーが津波で流され、有権者を把握できず選挙が実施できないケースもあった。総務省は「聞いたことがない」と、異例の取り組みの普及を期待している。
 釜石市の人口は約3万7600人。行政情報は自前の情報システムで保管しているが、日本海側の北九州市ならリスクが分散できるとみて、北九州市でも二重に保管してもらうことにした。住民基本台帳や固定資産税の課税状況などのデータを北九州市の情報システムへ送信し、保管してもらう。実費は釜石市が負担する方向だ。一方、北九州市は「保管料負担が軽減できる」と、市の情報システムを複数の自治体で共同運営したい意向だ。既に福岡県行橋市など近隣12市町と行政情報の共同保管を目指す協議会を組織しており、これに釜石市も加えて、2013年度中に14市町の行政情報の共同管理を目指す。釜石市の若崎正光副市長は「釜石市役所は小高い丘にありサーバーは無事だったが、隣の大槌(おおつち)町ではサーバーが流され、震災で亡くなった町長の後継を選ぶ選挙に支障が出た。地震津波の少ない北九州なら、安心してデータを預けられる」と歓迎した。

本記事では,北九州市釜石市における住民基本台帳等の情報共同保管の取組方針を紹介.
北九州市では,2011年3月から2012年3月の間で,「4543人日」に「367人」の「職員の派遣」し,「18回」の「支援物資」*1を進めるとともに,「復興支援に係る釜石市との連絡調整」,「釜石市の復興に資する」同市の「施策に係る助言」,「釜石市で支援活動を行う」同市「職員の総括」等を業務とし,「支援に係る具体的なアドバイス」や同市の「関係部局との連絡調整など」の実施を企図として,2011年8月1日に「釜石市役所第3庁舎釜石市復興推進本部内」に「北九州市・釜石デスク」を設置.「土木職」の「総務企画局釜石支援担当課長」と「現地採用スタッフ」をそれぞれ「1人」*2配置されている.「危機における水平補完」*3の実績を蓄積されてきている.
本記事を拝読させて頂くと,釜石市が補完する「住民基本台帳や固定資産税の課税状況などのデータ」を北九州市でも「二重に保管」する方針であることが報道.「データベースをネットワークでつな」*4ぐことともなる同取組に関しては,現在のところ,同市HP内では確認できず.公表後,要確認.情報保管の補完により,日常における水平補完へも資することも考えられそうか.今後の取組状況は,要経過観察.

共同保管

*1:北九州市HP(市政情報広報・広聴東日本大震災に関する情報本市の支援の取組み)「被災地の復興を願って〜北九州市・東日本大震災の支援活動〜(平成23年3月〜平成24年3月)」(北九州市平成24年3月)15頁

*2:前傾注1・北九州市(被災地の復興を願って〜北九州市東日本大震災の支援活動〜(平成23年3月〜平成24年3月)」16頁

*3:真山達志「危機管理と自治体」真山達志編著『ローカル・ガバメント論』(ミネルヴァ書房,2012年)118頁

ローカル・ガバメント論―地方行政のルネサンス

ローカル・ガバメント論―地方行政のルネサンス

*4:稲継裕昭「広域災害時における遠隔自治体からの人的支援等のあり方」稲継裕昭編著『大規模災害に強い自治体間連携』(早稲田大学出版部,2012年)12頁

大規模災害に強い自治体間連携 ― 現場からの報告と提言 (早稲田大学ブックレット<「震災後」に考える>)

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