大分市が今春、缶、瓶、ペットボトル、紙など資源ごみの持ち去りを禁止する条例を施行してから2カ月余り。その効果もあって空き缶の回収量は急増し、一定の効果を発揮しているようだ。7月からは条例の罰金制度も始まり、持ち去り行為には一段と厳しく対応する。
 同市では換金目的で空き缶や古紙がごみステーションから無断で持ち去られるケースが相次ぎ、空き缶だけでも昨年度の回収収入は前年度より約1395万円少ない約7215万円にダウン。このため3月市議会で「廃棄物の減量および適正処理等に関する条例」を改正し、3月27日から持ち去り行為を禁止した。同市によると、施行後の4月の空き缶回収量は、80・26トン(昨年同月比9・68トン増)で、5月も82・09トン(同11・7トン増)に急増。市民からの持ち去り通報も増えるなど注意意識も浸透してきているという。
 現在、持ち去り1回目は警告書、2回目は収集・運搬禁止命令書を出すだけだが、7月からは3回以上違反者を常習者としてビデオ映像などに収め、県警に告発。20万円以下の罰金を科すようになる。市は持ち去りを禁止する看板を今後市内約1万600カ所のごみステーションに設置し、注意を促すことにしている。同市清掃業務課は「ごみのリサイクル推進のため、持ち去りはやめさせたい。歳入にも影響が出ており、厳しく対応していく」と話している。

本記事では,大分市が改正された「廃棄物の減量及び適正処理等に関する条例」の執行状況を紹介.
2012年4月から施行されている,改正された同条例では「家庭廃棄物(資原物)の持ち去り行為を禁止」とし,「違反者」へは「罰則を適用する規定を追加」*1.具体的には,「市長または市長から委託を受けた者以外の者」は「ごみステーションに排出された」「缶,ビン,ペットボトル,プラスチック製の容器及び包装,新聞紙,ちらしその他紙類,布類,小型電気電子機器,金属類」の「資源ごみを持ち去ることを禁止」と置き,「持ち去り行為を行った者」へは「当該行為を行わないよう命ず」ことができるとともに,2012年7月1日からは「禁止命令に違反した者」「法人の責任を追及できる場合はその法人」に対して「20万円以下の罰金」*2が処せられることになる.
本記事を拝読させて頂くと,2012年「4月の空き缶回収量」は「80.26トン」と「昨年同月比9.68トン増」,同年「5月も82.09トン」と同じく昨年度月比では「11.7トン増」の傾向にある,という.本記事からは「空き缶回収量」の増加傾向を窺うことができ,厳密には実際の持ち去り率の変化(減少)があったとは確定できないものの(例えば,両月で空き缶の排出が格段と多い月であったことも考えられなくもない).一般的には,持ち去り率の変化があるとの推論は可能となりそう.同推論に立つ場合,その要因は,罰金整備に伴う持ち去りの「自主」*3化の傾向ゆえか,または,「市長または市長から委託を受けた者以外の者」によるモニタリングの徹底ゆえなのだろうか.特に,後者のモニタリングの実施状況は,要確認,

*1:大分市HP(大分市の広報報道発表資料部局別環境部)「4月1日から「資原ごみの持ち去り行為」を禁止します

*2:大分市HP(市民・くらしごみ・リサイクル)「7月1日から「資源ごみの持ち去り行為」は罰金刑の対象になります

*3:北村喜宣『環境法』(弘文堂,2011年)112頁

環境法

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