水資源の保全に関する新条例制定や条例改正が県内で相次いでいる。佐久市議会は29日、一定の取水量の井戸の新設を許可制とする条例案を可決した。立科町も新条例を7月から施行する。国内外資本による水資源を目的とした森林の買収が指摘されるなか、地域が主体となって水資源を守る動きが加速している。
 昨年12月に地下水を「公水」と位置づける共同声明に調印した佐久地域を中心とする12市町村のうち、3市町が6月議会で新条例案、条例改正案を可決した。佐久市は1日あたりの取水量が10トン以上500トン未満の井戸の新設を許可制とし、立科町は取水量の上限を1日400トン以下に定めた。小諸市は市環境条例を改正し、地下水を地域で共有する財産であると位置づけた。国や県に法律や条例の整備を急ぐよう求める意見書を可決する動きも相次いだ。岡谷市議会は「市町村レベルの規制には限界がある」として、土地買収の規制を求める意見書を全会一致で可決。東御市や富士見町も同様の意見書を可決した。こうした動きを受け、県は県内の10地域ごとに「水資源保全対策地域連絡会議」を7月中に設置する。水資源保全にかかわる現状や現行制度の理解を促すとともに、地域の課題や対応をとりまとめる。

本記事では,佐久市における水資源保全条例の制定を紹介.
同市に設置された「地下水等水資源保全研究検討委員会」が2011年12月14日にとちまとめた「提言」では,同「市を含む佐久地域の上水道の水源は,ほとんどが地下水や湧水であり,地下水等水資源は,咲く地域共有の財産」「公水」であるとして,「地下水等水資源の保全に特化」した「理念部分」と「地下水等水資源の利活用と保全とを調和した規制部分で構成される新たな条例を制定」*1することが提案されている.
本記事後段では,「地下水等水資源保全連絡調整会議」*2の取組も紹介.同連絡調整会議では「地下水を「公水」と位置づけ」た共同声明を調印され,その後,同会議を構成される「12市町村のうち,3市町が6月議会で新条例案、条例改正案を可決」されている模様.いずれの自治体間でも「その実体的な規制的内容を盛り込んだ」*3内容を含む場合,例えば,「関係する複数の自治体間での相互の意識的な取組により規定内容・形式を共通化させた条例(条例群)」を制定される,いわゆる「共通条例」*4,更には,連絡調整会議を構成する市町村が「共同して一本の条例を制定」される,いわゆる「共同条例」*5の制定とすることも考えられなくもなさそう.ただし,その場合,「地域に応じた地下水管理の柔軟性と自由度」*6ももつことも課題とは考えられそう.いずれの条例も公表後,要確認.

*1:佐久市HP(市政情報部長レポート平成23年10月〜12月佐久市地下水等水資源保全研究検討委員会から市長へ「提言書」の報告をいただきました。)「佐久市地下水等水資源保全研究検討委員会提言〜先人達から引き継がれた水資源を守り,育み,未来へ引き継ぐために〜」」(佐久市地下水等水資源保全研究検討委員会,平成23年12月14日)6頁

*2:佐久市HP(まちづくり公園・緑地)「〜「地下水等水資源保全連絡調整会議」について〜

*3:田村泰俊, 千葉実, 吉田勉編著『自治政策法務』(八千代出版,2009年)286頁

自治体政策法務

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*4:小林明夫「複数の自治体の政策協調による条例の制定方法についての一考察(一)」『自治研究』第84巻第9号,2008年9月,131頁 

*5:前掲注4・小林明夫2008年:130頁

*6:守田優『地下水は語る』(岩波書店,2012年)170頁