空き家問題の解消を図る空き家条例が、多摩地域で相次いで制定された。高齢者世帯の増加を背景に、家主の死後放置される空き家が増加。治安悪化も心配されることから、条例で行政の介入を強め、適正な維持管理を促す。しかし、空き家の相続人が複数いて意向の分かれる深刻なケースもある。課題は多い。 (福岡範行)
 多摩地域で初めて十九日に制定したのは八王子市で、正式名称は「空き家の適正管理に関する条例」。小平市も二十日、同様の条例を制定した。八王子市は条例に基づき、例えば管理不十分で屋根材が飛びそうな空き家の所有者に指導、勧告、命令を段階的に行う。命令に従わない場合、所有者名も公表する。二年前に条例を制定した埼玉県所沢市をモデルにした。所沢市の空き家問題の解決率は、施行前で45%。施行後は62%に上昇した。条例で、所有者らの意識も高まった。
 しかし、八王子市は空き家を直接処分することはできず、条例に限界もある。都宅地建物取引業協会八王子支部の役員は「強制力の乏しい中で、市は所有者をどこまで口説けるのか」と懸念する。八王子地域の戸建て住宅の賃貸需要は「物件を出せば、すぐ引き合いがくる」(業者)ほど高い。半面、空き家のまま放置される物件は、相続トラブルといった複雑な事情を抱えている例も多い。市暮らしの安全安心課の高橋健司課長は「氏名公表は最後の手段。所有者からの早めの連絡を促すのが条例の真意」と説明する。昨年度から解決に取り組む空き家の苦情二十八件のうち、十三件の所有者は市の依頼文に無反応で、所有者との対話すら始められないからだ。市は弁護士や宅建協会に助言を求めながら、所有者に空き家活用策を検討してもらう考えだが、傷みのひどい家だと選択肢は限られる。高橋課長は「問題となる前に空き家の活用を促す施策と両輪でないといけない」と強調。市住宅対策課は空き家の売却、活用を市で仲介する情報バンク制度の創設もにらみ、連携を模索していく。所沢市防犯対策室の担当者は「近所付き合いを深めることも、空き家問題の防止になる。条例を生かすには市民への周知、連携も大事だ」と話す。

本記事では,八王子市における「空き家の適正管理に関する条例」の制定を紹介.
2012年12月19日に開催された第4回定例会にて「可決」*1された「同条例案*2.本記事を拝読させて頂くと,「二年前に条例を制定した埼玉県所沢市をモデル」に制定された模様.
所沢市空き家等の適正管理に関する条例」*3を確認させていただくと,所沢市の条例は10条から構成されている.一方,八王子市の条例は12条からなり,2条多い.具体的には,所沢市の条例では,第6条で「助言,指導,勧告」を規定するものの,八王子市の条例では第7条と第8条にこれを分けて規定する.また,八王子市の条例では,所沢市の条例にない規定として,第3条を置き,「民事による解決を図ることを妨げるものではない」ことを,予め規定する.また,各条項の内でも,所沢市の条例にはない規定が八王子市の条例にはある.例えば,第6条第2項で,市長に「当該空き家への立ち入らせることができる」とも規定し,所沢市の条例からもより具体的な項目を規定を置く.なるほど,「模倣プラスアルファ」の「政策移転」*4の取組としても整理ができそう.
本記事では所沢市では「所沢市の空き家問題の解決率は,施行前で45%.施行後は62%に上昇」されたことも報道.施行後の効果もまた「模倣プラスアルファ」となるか,実施段階は要確認.