横浜市は23日、2011年度一般会計の決算(速報値)を発表した。市税収納率が前年度比で0・4ポイント増の97・9%で過去最高となった。コンビニエンスストアでの納税や債権の差し押さえなど滞納整理が進んだことが奏功したという。市税収入は企業収益の堅調さなどを背景に微増し、計7054億6900万円と3年ぶりの増収となった。
 市財政局は「過去10年で税収が一番多かった08年度比で約240億円少なく、財政は依然として厳しい」と説明している。市税収納率はこれまで1978年度の97・6%がピークだった。滞納対策として96年度に専門部署を設け、個人データ管理のシステム導入を進めるなどしてきた。93%台だった2001年度ごろから改善傾向で、11年度決算で過去最高を記録した。今回の0・4ポイント向上は税収額の換算で約28億円分になるという。
 一方、個人市民税はリーマン・ショックの影響が残り、52億2500万円(1・8%)減と3年連続で減収。法人市民税は製造業などが堅調で46億6900万円(9・1%)増えた。新築家屋が増えたことから固定資産税も21億7700万円(0・8%)増えた。市債発行額は47億8800万円(3・7%)減の1234億3300万円で4年ぶりに減らした。市債残高(借金)は205億4400万円(0・9%)増の2兆4311億8500万円と3年連続で増えた。歳入決算額は1兆3992億5100万円、歳出は1兆3796億9900万円。2月補正時点見込みよりも市税などが増えたため、実質収支は57億1800万円の黒字となった。

本記事では,横浜市における市税収納率を紹介.概要は,同市の2011年度の「一般会計決算」*1を参照.
「市税収納率と滞納額推移」*2を拝見させて頂くと,1999年度では93.0%であった収納率は,2011年度には本記事で紹介されているように,97.9%とある.
「徴税行政」では,税制に関する専門知識と適切な「財産調査」に加えて,「滞納者に対する納税交渉によっていかに徴収させるか」という「コミュニケーション能力」と「差押等の強制手続きや執行停止の適否を判断する見極める能力」という,「コミュ力」と「判断力」の二つがその「要諦」*3とも解されている.
同市では,「納期内納付が進んだこと」「現年課税分を中心とした取組」がその要因とも分析されている.また,「未収債権」全般の対策を拝見させて頂くと,同市では2011年5月に「財政局税務課」に「税外債権回収担当」の「設置」や「早期の未納案件の整理」に向けた「民間事業者を活用した電話による納付案内」の実施,「弁護士への徴収委任」に取り組むなか,2011年度には「市税」と「国民健康保険料」では「新規滞納に重点を置」き,「滞納発生直後から催告や財産調査を実施」し「早期着手に努めた結果」により「前年度に比べて滞納額を市税では24億円」を「圧縮」*4することになった,という.「コミュ力」と「判断力」は外部からは観察しにくいものの,同市の取組は是非伺ってみたい.

*1:横浜市HP(各局の紹介財政局組織財政課決算平成23年度決算について)「平成23年度一般会計決算の概要

*2:横浜市HP(各局の紹介財政局組織財政課決算平成23年度決算について)「平成23年度一般会計決算の概要 」4頁

*3:手塚洋輔「徴税行政における組織と人材」財団法人日本都市センター編『徴税行政における人材育成と専門性』(財団法人日本都市センター,2012年)5頁

徴税行政における人材育成と専門性(ブックレット29) (日本都市センターブックレット)

徴税行政における人材育成と専門性(ブックレット29) (日本都市センターブックレット)

*4:横浜市HP(各局の紹介財政局組織財政課決算平成23年度決算について)「平成23年度一般会計決算の概要 」25頁