大津市役所庁舎の執務室の三割超が建築基準法に違反していることが十日、分かった。同日の市議会で谷祐治議員の一般質問に結城慶一総務部長が答えた。市は二〇一四年度以降、本格的な改修工事をするとした。
 市によると、今年四月に庁舎を視察した谷議員の指摘を受けて調査した結果、本館と別館、新館にある計百四十九室のうち四十八室が現在の建築基準法に適合していないと判明。本館で三十八室、別館で九室、新館も一室あった。違反は、非常用照明設置などの問題が十九件、不燃材の問題が二十四件、換気や排煙の問題が合わせて十一件あった。別館が完成した一九七一年に建築基準法が大幅に改正された。同法は既存施設には適用しないが、増築の際には基準に適合するよう改修が必要となる。市は法改正後、本館を四回、別館を一回増築したが、改修は進まなかった。(山内晴信)

本記事では,大津市における庁舎の現状を紹介.全149室中48室が建築基準法違反とのこと.
同日付の読売新聞の報道では,同市庁舎*1が違反建築となった経緯も報道されている.同記事によると,同市ではまず1967年に「本館」が「完成」する.その「4年後の71年に別館」が「完成」.同年には「建築基準法の大きな改正」もあった.これにより「この時点で35室が不適合とな」っていた.「その後,「本館は81〜86年に計4回」「別館は95年に1回」「増築」したものの,「職員らに違反との認識がなく直されなかった」.更に「その後,庁舎が手狭とな」ったため「倉庫を執務室に改装するなどした」ことで,「89年に完成した新館」を含めて「さらに13室」が「違反」*2になった,という.
「違反建築の防止」*3を「不知」*4による帰結か,はたまた他の検査のために「モニタリングのコスト」*5の振り分けたことよる自らの庁舎の未確認による帰結か,いずれにせよ悩ましい結果.

*1:大津市HP(各課の連絡先・提供情報)「大津市役所フロアー図

*2:読売新聞(2013年6月11日)「48の部屋で建築基準法違反が見つかった市役所

*3:大津市HP(事業者向け建築関係情報違反)「違反建築について

*4:クリストファー・フッド『行政活動の理論』(岩波書店,2000年)67頁

行政活動の理論 (岩波テキストブックス)

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*5:原田大樹「政策実施の手法」大橋洋一編著『政策実施』(ミネルヴァ書房,2010年)58頁

政策実施 (BASIC公共政策学)

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