京都府京丹後市は、市内への企業誘致につながる情報提供により立地が成功した場合、情報提供者に報酬金を交付する新制度を設ける。府内の自治体では初の取り組みで、全国から情報を求める。10月のスタートを目指す。
 長引く不況で、京丹後市では2011年度の事業所数が04年度比で25%減、従業者数も同17%減と落ち込む。法人市民税も最近3年間で2割近く減少した。市は京都縦貫道の全線開通など交通インフラ整備を控え、企業誘致にあらためて力を入れることにした。
 情報提供者は個人・法人を問わず、住所や国籍も不問。市は、多くの企業と接点がある建設業者や宅地建物取引業者からの情報提供にも期待する。企業従業員からの情報も受け付ける予定。進出先を探している企業や、京丹後市への立地に関心がある企業に関する情報が市に伝わると、それを基に市職員が誘致活動を行う。情報提供者は、立場によって仲立ちを務めるが、完全に匿名のままの場合もある。誘致が完了した時点で、市が情報提供者に報酬金を支払う。
 全国では兵庫県三木市や鹿児島県薩摩川内市が同様の制度を持つ。報酬額は「他市を参考に検討する」(市商工振興課)という。9月議会で審議する市商工業総合振興条例案に基づく制度。中山泰市長は「情報を掘り起こし、企業誘致の可能性を広げたい」と話す。

本記事では,京丹後市における企業誘致の取組を紹介.
本記事によると,「商工業総合振興条例案に基づく制度」として,企業誘致に関する情報提供者に対して,誘致に成功した場合,成功報酬が支払う方針にある,という.そこで,2013年5月29日から6月14日の間で実施されたパブコメの時点に提示された「京丹後市商工業総合振興条例(案)」*1を確認してみると,報酬制は必ずしも同条例案では明示されてはいない模様.ただし,同条例案第11条では「市は,商工業の振興及び企業立地の推進を図るため,必要な財政上の措置を講ずるものとする」との規定は置かれてはいる.
本記事で紹介されている薩摩川内市の取組を確認してみると,薩摩川内市では,「平成25年度から平成28年度まで」の「4年間」で実施.対象「 業種」は「製造業等」であり「雇用者数が「10人以上など」の「企業立地支援補助金制度の要件を満たす案件に限定」し,「進出企業の情報提供」を求めている.進出企業は「新設のみ」となり「増設・移転は対象外」となる.また,「企業訪問に同行する」際の
企業との仲介」へは「旅費支給」がある.実際の「報奨金の額」は「最高額1,000万円」.「基本額」は「操業開始後に一律100万円」支給され,「操業1年後に最高900万円」の「加算額」がある.これは「新規雇用補助の対象者」となり「6ヶ月連続」での「市内雇用者1人につき10万円」支給され「雇用90人以上のとき最高額」*2となる.また,三木市では「企業誘致情報提供報奨金」として「用地等の説明」「用地の見学」「用地見学後の面談」の「すべてを完了」した場合に「5万円」が支給され,その後「受付をした情報に基づ」いて「誘致対象企業が地権者との間に土地譲渡契約を締結」,「土地譲渡代金を完納し」た後,「土地の引き渡しが完了したとき」に「土地譲渡代金の1%」を「上限1,000万円」*3の範囲内で支給されるという.
「企業誘致努力」*4の方策の一つとして整理ができそうな報酬制度.金額の相場観は二つの自治体の事例からは1,000万円となる様子.同市で整備される同制度では,どれくらいの金額を想定されているのだろうか.詳細設計が確定後,要確認.