東日本大震災で被災した岩手県陸前高田市は26日、市役所新庁舎の建設地を浸水区域外の高台にする方針を決めた。住民や市職員対象のアンケートで、津波に襲われて今後かさ上げする中心市街地より、安全な高台を望む声が多かったことを踏まえた。
 中心市街地にあった旧庁舎は、一部4階建ての3階まで浸水、職員113人が犠牲になった。市は新庁舎の再建場所として、5月に住民アンケートを実施。土地をかさ上げして海抜約15メートルとなる新市街地など4案を示した。

本記事では,陸前高田市における新庁舎の立地方針の決定について紹介.2013年4月26日付及び同年6月11日付の両本備忘録でも記録した同市の新庁舎の立地に関する検討.同決定に関する詳細は,同市HP又はFBを参照(FBでは,記者会見の映像も確認ができる)*1
同資料によると,同立地の方針に至った理由のまずひとつめは2013年6月11日付の本備忘録でも記録した「市民アンケート」の結果がある.同アンケートでは「高田町鳴石地区(現市役所庁舎)が約41%と最も多かった」ためとされる.二つめの理由は,2013年6月10日から12日までの間に515名の職員を対象に実施した「職員アンケート」の結果である.同アンケートへは423部の回答(回答率82.1%)があり,「高台が望ましいとするものが約75%を占めた」*2という.
一方で,両アンケート後も必ずしも「現市役所庁舎」に限らない意見もあった.2013年6月20日に「市議会」から意見も示される.具体的には,「住民アンケートは重くとらえるべきがだ,現在の市役所は十分な立地場所とは言い切れないものがある.住民の求める意思を汲み取り,土地区画整理事業区域外において適切な位置を決定されたい」との申し入れ」があったという.また,「復興計画推進委員アンケート」では「1案と3案はほぼ同数」であり,加えて6月24日に開催された震災復興計画推進委員会の場でも「双方の意見」*3も提示された.
そこで,2013年6月26日に開催された「庁議」では,「新しい市役所の位置」を,「東日本大震災の浸水区域外で,高台を基本とする」との「検討結果」に至ったことが報告.ただし「高台を基本」との結論には至ったものの,「具体的な位置」は「まちづくりの観点や利用者の利便性の確保」を「十分留意して対応していく」とも述べ,「現市役所庁舎の位置を含めて引き続き,検討し,適切な位置を選定」とある.そのため,現在の庁舎に限定されてはいないことにもなる.
いずれにせよ,高台を基本とした新庁舎となれば「陸前高田の町が一望」*4できる立地での庁舎となるのだろうか.今後の具体的な位置に関する検討過程も要経過観察.

*1:陸前高田市HP(復興・まちづくり新しい市役所の位置)「新しい市役所の位置の検討結果について」(報道関係資料 建設部都市計画課,平成25年6月26日),陸前高田市FB「新しい市役所の位置の検討結果について」(報道関係資料 建設部都市計画課,平成25年6月26日)

*2:前掲注1・陸前高田市(新しい市役所の位置の検討結果について)

*3:前掲注1・陸前高田市(新しい市役所の位置の検討結果について)

*4:戸羽太『被災地の本当の話をしよう』(ワニブックス,2011年)140頁