金沢など全国7中核市は19日、金沢市で防災会議を開き、地域防災計画などの災害復旧の情報を平時から共有し、大規模災害時の迅速な支援につなげる金沢宣言を採択した。 中核市で初の取り組み。被災地が超広域にわたった東日本大震災を教訓に、地域分散型の危機管理体制を構築し、人的資源や支援物資を相互に補完して市民の生命と財産を守る。
 金沢ニューグランドホテルで開かれた初会合には、全国42中核市(人口30万人以上 )で締結する災害相互応援協定に基づく六つの自治体グループのうち、第5応援チームに属する秋田、千葉県船橋、金沢、兵庫県西宮、和歌山、山口県下関、宮崎の7市長が出席 。各市の被害想定や防災行政の現状と課題を話し合った。
 南海トラフ巨大地震による被害が想定される和歌山市大橋建一市長は「災害時の助け合いは日ごろのつきあい、顔が見える関係が極めて重要だ」と中核市による応援チームの結成を呼び掛けた経緯を説明した。山野之義金沢市長は「今後は各市の防災部局が定期的に連絡を取り合うことが大切だ」と金沢宣言の意義を強調した。
 松戸徹船橋市長は東日本大震災の際に飲料水の確保が困難だったことから「被災していない離れた自治体に支援を要請できるのは心強い」と連携に期待感を示した。阪神大震災で被災した西宮市の河野昌弘市長は東日本大震災の被災自治体に、周辺4市町で結成した 兵庫県阪神支援チームを派遣した実績を紹介した。中尾友昭下関市長は市民の防災意識の 向上を課題に挙げた。
 穂積志(もとむ)秋田市長は災害時に援助を必要とする人の情報を本人の同意を得ずに 自主防災組織や民生委員、町内会などと一定の範囲で共有できることを柱にした同市災害対策基本条例を説明し、戸敷正宮崎市長はNTTの協力で電話帳に防災情報を80ページにわたり掲載したことを紹介した。20日は金沢市役所で防災担当課長会議を開き、24時間の連絡体制や備蓄品、支援物 資受け入れ施設と緊急輸送道路を確認。同市大和町防災拠点広場と備蓄倉庫を視察する。
 今後も年1回の会議を開き、来年度は宮崎市、2015年度は西宮市で開催する。

本記事では,中核市における災害相互応援協定の取組を紹介.本記事では,「第5応援チーム」に属する秋田市船橋市金沢市和歌山市下関市宮崎市の7都市.「地域防災計画などの災害復旧の情報を平時から共有」し「大規模災害時の迅速な支援につなげる金沢宣言を採択」されたとのこと.同宣言は公表後,要確認.
孤立無援となる前に,中核市同士が「橋渡し」*1としての協定を通じた相互応援を進める同取組.とはいえ,中核市での同チーム分け.「どのような基準で組み合わせているのだろう」と思い中核市市長会HPを確認(といいますか,単独でHPを作成されていたのですね.便利になりました).2011年11月2日に和歌山市で開催された中核市市長会での配布資料6によると,従来は「北海道から九州まで地域ごとの4ブロックに分割」されていたものの「ブロック内の協定市の多くが被災し,近隣ブロックにまで被害が及ぶ可能性」も想定されるため,「広域的な大災害に対応できる分割による支援」*2を採用.
そして具体的な「分割の考え方」は,まずは「6つの災害相互応援チームに分ける」ことを前提として,その際,「近隣地域ができるだけ重複しないように各地域」「北海道・東北,関東,中部・北信越,近畿,中国・四国,北九州・沖縄」から「原則1市」が参加.上記の各地域内に中核市が6つ以上位置している場合には「2市」となる.そして,一つひとつのチームに属する中核市が編成された理由は,「現行ブロック外の市とすでに相互応援協定を結んでいる市」は「極力その協定が生きるようにチーム編成」*3した,という.なるほど,
第30次地方制度調査会答申が述べたように,「人口20万以上であれば保健所を設置することにより中核市となるという形で,中核市特例市の両制度を統合」*4することで,仮に中核市が増加した場合,これらのチーム編成も組み直しされるのだろうか.要観察.

*1:ロバート・パットナム『孤独なボウリング』(柏書房,2006年)20頁

孤独なボウリング―米国コミュニティの崩壊と再生

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*2:中核市市長会HP(地方分権に向けて中核市市長会議和歌山を開催しました2011年11月2日)「資料6中核市災害相互応援協定の広域災害時における応援体制の整備について」15頁

*3:前掲注2・中核市市長会(資料6中核市災害相互応援協定の広域災害時における応援体制の整備について)16頁

*4:総務省HP(組織案内審議会・委員会・会議等地方制度調査会)「大都市制度の改革及び基礎自治体の行政サービス提供体制に関する答申」10頁