明石市は1日、法律上の夫婦の子(嫡出子)か、結婚していない男女間の子(嫡出でない子=婚外子)かの区別を記入する欄を削除した出生届を独自に作成し、受け付けを始めた。婚外子への差別解消を図るべきとする最高裁の判断を受けた対応。同市によると、全国初という。
 市役所の窓口などには従来の様式の書類も用意し、市民が選べるようにした。最高裁は先月4日、「嫡出でない子の遺産相続分を嫡出子の半分と定めた民法の規定は違憲」との決定をした。また、出生届に嫡出子かどうかの区別を記載するよう義務づけた戸籍法の規定が合憲かどうか争われた訴訟でも、規定自体は合憲とした上で「事務処理には便利な規定だが、必要不可欠とは言えない」との判断を示した。
 こうした流れを受け法務省は戸籍法の改正を検討しているが、明石市は時間が掛かると判断し、先行し対応することにした。この問題をめぐっては、法務省が2010年3月、出生届の提出者が、嫡出子かどうかの記載に応じない場合でも、自治体側が戸籍などで内容を確認できる場合は受理できるとの通知を出しており、同市でも既に受理している例があるという。会見した泉房穂市長は「(全国自治体の)統一的な運用の重要性は理解できるが、不快な思いをする市民がいるなら、可能な範囲で双方のバランスを図りたい。多様な市民がいることを踏まえ、選択の幅を広げたい」としている。
 一方、法務省は「(こうした出生届の)運用例は聞いたことがない。今回の事例は省令に定める様式違反に当たるとみられ、必要な場合は法務局からの指示などがあり得る」としている。(新開真理)

本記事では,明石市における出生届の取組を紹介.
嫡出子と婚外子の区分の記入欄を削除した出生届を作成された模様.詳細は,現在のところ同市HPでは確認できず.本日段階での同市による「出生届の記載例」では「父母との続き柄」*1の欄に,「嫡出子」か「嫡子でない子」のチェックボックスは残置されている.公表後,要確認.本記事でも紹介されているように, 遺産分割審判に対する抗告棄却決定に対する特別抗告事件に対する最高裁(平成25・9・4)では「憲法14条1項に違反」*2との決定を踏まえての出生届の運用.いわば,「立法法務」のみならず執行法務へも「フィードバックしていく」*3取組.
また,同記事では,住民票記載義務付け等請求事件への最判平成25・9・24を同運用の背景として紹介.ただ,同判決,報道部分には,正確には次のように続く.「届書に嫡出子又は嫡出でない子の別を記載することを届出人に義務付けることが,市町村長の事務処理上不可欠の要請とまではいえないとしても,少なくともその事務処理の便宜に資するものであることは否定し難く,およそ合理性を欠くものということはできない」*4.つまり,「事務処理上不可欠の要請とまではいえない」としても,義務付け自体は「合理性を欠くものということはできない」との判断ともいえる.
現段階では,戸籍法第49条第2項第1号に基づき,出生時の「届書」へ「記載しなければならない」として「嫡出子又は嫡出でない子の別」が規定されているなかで,今後の立法法務へのフィードバックは,要観察.