相次ぐ不祥事の抑止を目的に愛媛県と県教育委員会は1日、懲戒処分公表基準を改定し、非公表だった職員の氏名を免職と停職に限り原則公表へ厳格化した。市町では伊予市が近く追随の方針。ただ8市町が独自の公表基準を持たず、公表の是非や基準策定を検討する動きが始まった。
 氏名公表について、ほとんどの市町は従来の県基準と同様、原則非公表とする。2003年に人事院が、職員個人が識別されない程度とした方針を踏襲。ただ刑事事件に発展したり、社会的な影響が大きかったりするケースは大半が公表する。 停職以上の氏名公表に踏み出す方針の伊予市は抑止力に期待する一方、「職員に十分に周知したい」と運用に細心の注意を払う。 松山市も13年9月に処分基準・公表基準の見直しに着手。まだ方針は決まっていないとし「事案内容や過失の程度に加え、相手が特定される恐れもあり一律の公表は難しい」と課題を挙げる。

本記事では,愛媛県における懲戒処分の取組を紹介.同取組は,同県HPを参照*1
同県の改訂された「職員の懲戒処分の公表基準」では,「地方公務員法に基づく免職、停職、減給又は戒告の懲戒処分」を行った場合,「処分の都度」,「速やかに,処分状況の概要資料」を「報道機関」へ「提供」し.同「県ホームページに掲載する」*2と規定する.
公表の内容は,処分毎で異なる.「免職又は停職の場合」には「処分年月日,処分内容,被処分者の所属(課所名),職名,氏名,年齢,性別,処分事由(事案の概要)」が公表となる.「減給又は戒告の場合」は,「処分年月日,処分内容,被処分者の所属(部局名),職名(課長級,係長級,一般職員等),年齢(何十歳代),性別,処分事由(事案の概要)」*3が公表され,氏名は公表の対象外となり,職名,年齢は特定化しない.ただし,「社会に及ぼす影響が著しい事案の場合」や「警察等で所属や氏名等が公にされている場合」には「所属(課所名),職名,氏名.年齢も公表する」*4という.「訓告及び厳重注意」はその「実施状況」を「必要な範囲で公表」*5する方針にある.
懲戒処分という「制裁」*6とともに,氏名等の公表という制裁を加重される同取組.同制度の下で「必要最小限の仕事だけをしようと考える」「吏員型」*7による職務行動へと律することになるのか,基準による影響は,要観察.

*1:愛媛県HP(県政情報人事・職員処分「職員の懲戒処分の公表基準」の改正について)「職員の懲戒処分の公表基準」(平成26年5月1日,愛媛県総務部管理局人事課)

*2:前掲注1・愛媛県(職員の懲戒処分の公表基準)

*3:前掲注1・愛媛県(職員の懲戒処分の公表基準)

*4:前掲注1・愛媛県(職員の懲戒処分の公表基準)

*5:前掲注1・愛媛県(職員の懲戒処分の公表基準)

*6:出雲明子「第8章 地方公務員制度と人事管理」柴田直子・松井望編著『地方自治論入門』(ミネルヴァ書房,2012年)161頁

地方自治論入門

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*7:真渕勝『行政学』(有斐閣,2009年)499頁

行政学

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