県職員の飲食公費負担へ 会合出席時 素案公表、意見募る区(読売新聞2019年10月11日) 

 県職員が飲食を伴う会合に出席した場合の公費負担について、県が認める方向で検討している。1990年代半ばに「官官接待」が社会問題化してからは自己負担となっていたが、二十数年ぶりに方針転換する。県はホームページ(HP)で支出基準の素案を公表して意見を募っており、寄せられた内容を踏まえて来年4月の導入を目指す。

 素案によると、対象は知事や副知事、本庁の部課長など約240人で、代理出席した職員も必要に応じて加える。学界・経済界との意見交換や企業誘致に向けた懇談会などを想定。支出額は会費相当分で上限額はなく、出席回数などを含め「必要最小限に努める」とする。

 

 飲食を伴う会合の公費負担を巡っては、出費がかさむため職員が会合の出席を躊躇するという意見が上がっていた。県コンプライアンス・行政経営課は「(自己負担を理由に)県民の率直な声を聞き、政策や事業に生かす機会を逃すのは不利益」だと説明。公務で発生する費用は、公費負担が原則としている。

 一方、県は公費負担の透明性を担保するため所属長が出席の目的や内容などを事前に確認し、実際に出席した場合は翌月末までにHPで支出金額などを公表する考え。15日まで実施するパブリックコメント(意見公募)などを参考に、今年度中に具体的な基準をまとめる。

 阿部知事は7日の定例記者会見で「我々が支出の在り方を律していくことは大原則だが、公開し透明性を確保することで県民、県議会からしっかりチェックいただける形にしたい」と述べた。

本記事では,長野県における会合費用の取組方針を紹介.

同県では,2019年「9月13日」から「10月15日(火曜日)まで 」の間,「会合飲食費用に係る公費支出基準の考え方について (素案)」*1へのパブリック・コメントを実施.同考え方(素案)では,職員の会合飲食費用の公費負担に係る新たな取扱基準を定め」るとともに「その適正な執行」により同「 県民の意見や地域の情報を県の政策に的確に反映 」と「積極的な情報発信,営業活動を通じた県経済の活性化」*2を目指す.

「基本的考え方」では,まず「飲食を伴う会合への職員の出席に対する公費支出は」「公務としての出席の必要性」「支出の内容等事前確認を確実」をしたうえ「必要最小限の執行に努める」こととし,同「県主催の会合自体」も「できる限り勤務時間内に開催するなど工夫し」たうえで「 関係団体にも多様な形態の会合開催」への「協力を呼びかける」*3とされている.「具体的基準」では,同「県以外が主催」とする,「受賞祝賀会,賀詞交歓会,公共的 団体等の総会に伴う懇談会」などの「式典等儀礼的なもので,県政運営上 相手方との友好,信頼関係の維持増進 を図るために出席が必要な会合」や「産業経済団体(商工会、農業協同組合 等),社会福祉団体,文化スポーツ団体, 学界,経済界等との意見交換」のような「公務遂行上必要な団体,有識者等との意見交換に伴う会合」は「交際費」,同「県が主催」する「表彰受賞者との昼食会,全国大会交歓会,歓迎レセプション」の「式典等儀礼的なもので,社会通念上 招待客をもてなす必要性が高い会合」や「企業誘致や連携協定締結に向けた懇談会」などの「県事業を推進するために必要な団体,有識者等との意見交換に伴う会合」は「食糧費」が「支出科目」*4となる.

対象はいずれも「特別職の職員」,「所属長(本庁の部課長,現地機関の長) 」,「所属長が必要と認めた職員(代理出席,説明を行う担当職員等)」*5とされている.「1人当たり支出限度額」は,前者は「案内に記載された額(会費相当分)」,後者は「主催する会合に必要な経費」となり,いずれも「所属長等が出席の目的,必要性,内容,参加者の範囲について事前確認」したうえで,「執行した部局等」が「支出の翌月末までに」「支出年月日,支出金額,会合名等」を同「県HPで公表」*6することとなる.

同基準の規定による,同職員による「能動的・主体的」*7な交流状況は,要観察.

 
 
 

 

 

*1:長野県HP(県政情報・統計 : 組織・行財政:  組織・職員 : 長野県の組織一覧(本庁) :  コンプライアンス・行政経営課紹介 )「県職員が会合に出席する際の費用に係る公費支出基準の考え方(素案)についてご意見を募集します。

*2:長野県HP(県政情報・統計 : 組織・行財政:  組織・職員 : 長野県の組織一覧(本庁) :  コンプライアンス・行政経営課紹介 :県職員が会合に出席する際の費用に係る公費支出基準の考え方(素案)についてご意見を募集します。)「会合飲食費用に係る公費支出基準の考え方について(素案)

*3:前掲注1・長野県(会合飲食費用に係る公費支出基準の考え方について(素案)

*4:前掲注1・長野県(会合飲食費用に係る公費支出基準の考え方について(素案)

*5:前掲注1・長野県(会合飲食費用に係る公費支出基準の考え方について(素案)

*6:前掲注1・長野県(会合飲食費用に係る公費支出基準の考え方について(素案)

*7:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『第3版 ホーンブック地方自治』(北樹出版,2014年)239頁

ホーンブック 地方自治[第3版]

ホーンブック 地方自治[第3版]