全国唯一の財政再生団体として再建中の北海道夕張市の政策課題について総務省、道、市の実務者が協議する会合が８日、同市役所で開かれ、市営住宅再編など市が２０２０年度までに計画する１１事業を実施することで合意した。市の財政再生計画に反映させる。
会合では、中長期的な事業の方向性を中心に協議。近年、市に配分される普通交付税が財政再生計画の予測を上回って推移していることを踏まえ、１１事業（事業費約３６億円）を実施可能と判断した。主な事業は１６年度から始める市営住宅再編（同約２６億円）や、老朽化した橋の補修・架け替え（同約４億円）など。（2014/08/08-18:05）
本記事では，夕張市における，同市と総務省，北海道庁間での三者協議の結果を紹介．同協議の結果は，同市HPを参照*1．
同協議は，「伝言ゲームのような縦の関係では距離が遠くなればなるほど」「なかなか市の思いというものが伝わりにくいという状況があった」との認識から，「縦の関係から三者がこの一堂に夕張の地に会して」「共に夕張という現場で課題を共有」し「解決策を協議していくことが非常に有効であると考え」*2に基づき，2012年に設置．これまでほぼ年間4回の頻度で更新されてきている財政再生計画を，今後の「「新規行政需要部門」の事務」*3を見通しつつ，今後の更新に向けて，「首長を補佐する役職」*4のような三者の「実務者」*5が主体となり，各主体「お互いの多様性に配慮」*6しながら，「実質的な了承を得」*7る，いわば「巻き込み型」*8による「政策選択」*9の場として開催．
本記事では，2014年度の協議結果*10を紹介．同協議では，「市営住宅再編事業」「初期救急医療体制の確保」「公園施設の補修」「橋梁の点検・補修・架替」「郷土文化施設のあり方」「旧富野じん芥焼却場の解体」「観光施設のあり方」「夕張市耐震改修計画に基づく耐震診断等」「し尿処理現場閉鎖に伴う維持管理」「し尿処理場閉鎖に伴う各処理槽清掃」「行政執行体制の確保」の「11項目」*11が合意されている．協議結果の実施状況は，要観察．
*1:夕張市HP（市政・議会情報：三者協議）「平成26年度三者協議開催状況」
*2:夕張市HP（市長の部屋：市長あいさつ集）「三者協議市長挨拶」
*3:稲垣浩「戦後府県企画担当部局の形成と展開」『年報行政研究４１ 橋本行革の検証』（ぎょうせい，2006年）146頁
*4:出雲明子「第8章 地方公務員制度と人事管理」柴田直子・松井望編著『地方自治論入門』（ミネルヴァ書房，2012年）87頁
*5:夕張市HP（市長の部屋：市長あいさつ集）「三者協議市長挨拶」
*6:荒見玲子「健康長寿県のつくり方」東大社研・玄田有史編『希望学 希望の福井，福井の希望』（東京大学出版会，2013年）196頁
*7:松井望「第11章 政策設計と政策実施．評価」所収・前掲注4：225頁
*8:手塚洋輔「児童相談行政における関係機関とのネットワーク構築」『児童相談行政における業務と専門性』（財団法人日本都市センター，2011年）30頁 日本都市センターブックレットNo.25 児童相談行政における業務と専門性―みんなで支える子どもと命―
*9:砂原庸介『地方政府の民主主義 -財政資源の制約と地方政府の政策選択』（有斐閣，2011年）3頁 地方政府の民主主義 -- 財政資源の制約と地方政府の政策選択
*10:夕張市HP（市政・議会情報：三者協議：平成26年度三者協議開催状況）「国，北海道及び夕張市の三者協議」の結果概要（速報）」
