岡山市の大森雅夫市長は11日、2014年度に計画していた同市中心部の県庁通りと西川緑道公園筋を交通規制して歩行者優先の空間をつくる社会実験について、実施を見送る考えを明らかにした。道路使用許可を出す岡山県警の同意が得られなかったため。
 中心市街地のにぎわい創出に向け、歩いて楽しめるまちづくりを進めたい市と、JR岡山駅南で大型商業施設・イオンモール岡山の開業(11月予定)を控え、交通への影響を懸念する県警の考えが折り合わなかった。市長は記者会見で「歩いて楽しいまちづくりは必要」と強調する一方で「県警の了解がなければ(社会実験は)できない。極めて残念」と述べた。
 市はイオン開業前の10、11月と開業後の社会実験を目指し、県警と調整を続けたが、市によると「イオン開業後と異なる交通環境で社会実験を実施しても影響を正しく評価できない。開業後の交通実態を見極めた上で是非も含めて判断すべきだ」という県警の方針は変わらなかったという。社会実験には3カ月程度の準備期間が必要で、開業前の実施はタイムリミットを迎えていた。開業後についても交通状況の実態把握に一定の時間が必要なことから14年度の実施は難しいと判断した。市長は15年度以降の実施について「完全に断念するというつもりはない。県警の指摘を踏まえ、関係部署と相談し、検討していきたい」とした。
 社会実験は市が14年度当初予算で示した中心市街地活性化の政策パッケージの一つ。県庁通りは市役所筋との交差地点から東に約600メートル区間で車道を2車線から1車線に減らし、オープンカフェなどを開設。西川筋では桃太郎大通りとの交差地点から南に約300メートル区間で両側車道を歩行者天国にする計画だった。

本記事では,岡山市における社会実験の実施にむけた方針を紹介.
本記事でも紹介されているように,2014年度予算の「主要施策・事業」の一つとして,「笑顔があふれる中心市街地の創出と人にやさしい都市交通網の構築」を目的に,「まちなかをめぐろう」という施策を「1億52百万円」*1で予算化.同施策内では,「県庁通りの一部」の「車道を2車線から1車線に制限」し「オープンカフェ等の演出もあわせた社会実験」を実施し「にぎわい創出の効果を検証」する「県庁通りまち歩き社会実験事業」を「45百万円」,「西川緑道公園筋の一部」の「車両を通行止めにする社会実験」を実施し,同じく「にぎわい創出の効果を検証」する「西川緑道公園筋フリーウオーク社会実験事業」を「33百万円」等が予算化.
一方で,本記事によると同事業は「道路使用許可を出す岡山県警の同意が得られなかった」ため,同社会実験は「実施を見送る」方針であることを紹介.社会実験として事後的な「他機関」*2との権限調整を含めた場合,予算化はされたものの実施に至ることもまた実験的となるのだろうか.悩ましい.

*1:岡山市HP(市政情報市政のあらまし財政予算平成26年度予算)「平成26年度当初予算(案)の概要」8頁

*2:Kettl,Donald F. (2014).The Politics of the Administrative Process Sixth Edition,CQ Press:p.156.p.341

Politics of the Administrative Process

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