札幌市教委は、白石区に開設する「絵本図書館」(仮称)と、中央区の「都心にふさわしい図書館(都心図書館)」(同)の基本計画案をまとめた。2016年秋に開館の絵本図書館は蔵書が2万冊で、国内に流通する絵本をほぼ網羅する専門図書館とする。都心図書館は最新の専門書など6万冊を収蔵し、貸し出しは行わず調査研究や情報提供に特化した施設を目指す。
 11日の教育委員会会議で報告した。絵本図書館は、市営地下鉄東西線白石駅に隣接する市有地(白石区南郷通1南)に移転する白石区複合庁舎の6階に開設、広さは約500平方メートルで書架や閲覧スペースのほか、幼稚園や保育所などが団体で利用できる部屋などを設ける。蔵書は幼児向けの絵本を中心に幼児教育や絵本の専門書など2万冊を予定。デジタル絵本の収集や絵本作家の創作支援にも力を入れ、館内ではタブレット端末を使ってデジタル絵本が楽しめる。
 一方、都心図書館は、札幌市が18年度内の開館を目指し中央区北1西1に整備を進めている市民交流複合施設内に設ける。複合施設はオペラが上演できる大ホールや市民の芸術文化活動を支援するアートセンターなどからなる。その1、2階に開設される都心図書館は、近隣のオフィス街で働く会社員らが新聞や専門書で情報を得たり、観光客が札幌の歴史や文化を調べるなど、情報提供に特化した図書館とする。蔵書は経済や医療、法律、資格取得など、仕事と暮らしに関するものに限定した6万冊で、いつでも利用できるよう閲覧のみとし、貸し出しは行わない。広さは約1400平方メートルで、図書館資料を基に複数人で打ち合わせができる部屋も確保する。市教委は「2館の開設で、幼児がのびのびと絵本に親しめる場と、都心の知的空間を創出したい」としている。(山中いずみ)

本記事では,札幌市における図書館整備に関する基本計画案を紹介.
2012年1月に策定された『第2次札幌市図書館ビジョン』では「都心という場所であることから,他の施設との複合化が前提になると考えられ,複合する施設の機能や都心の特徴を踏まえ,「知の拠点」として,その役割の果たし方について検討」*1することが記載されていた「都心にふさわしい図書館」構想.本記事によると,同構想の具体化する基本計画案が取りまとめられ,同計画案では,「都心にふさわしい図書館」として,「市民交流複合施設内」に設置し,加えて,同図書館の機能を「新聞や専門書で情報を得たり」「観光客が札幌の歴史や文化を調べるなど」「情報提供に特化した図書館」とする方針にある,という.
「「貸出」が異常に重視された」*2とも評される公立図書館.同計画が具体化し,閲覧のみとし「情報提供に特化した図書館」が設置された場合の利用状況は,要確認.

*1:札幌市HP(教育・文化・スポーツ札幌市の図書館 図書館の指針・計画・活動札幌市図書館ビジョン)「第2次札幌市図書館ビジョン」19頁

*2:南学「「直営VS民間」の不毛な対立を超えて」小島卓弥編著『ここまでできる実践公共ファシリティマネジメント』(学陽書房,2014年)148頁

ここまでできる 実践 公共ファシリティマネジメント

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