菅義偉官房長官は28日、秋田市内で講演し「企業版のふるさと納税があってもいいのではないか。法人住民税を工夫する」と述べた。個人が故郷などの地方自治体に寄付すると、所得税や住んでいる自治体に払う個人住民税などが減る現行のふるさと納税制度を応用する。菅長官は法人住民税などへの導入に向け、財務省総務省に検討を指示したことを明らかにした。
 今年末に決める2016年度税制改正大綱に盛り込み、同年度からの実現をめざす。ふるさと納税は菅長官が総務相時代に主導。08年度に始まった。菅長官は講演で「ふるさと納税は地域の活性化につながる」と強調。企業版のふるさと納税の導入に関して「官民挙げて連携し、町づくりを応援する。自治体に民間資金を投入する」と意義を訴えた。今後、関係省庁が制度設計の検討を進める。

 菅義偉官房長官は29日午前の記者会見で、自らが検討を表明した「企業版ふるさと納税」について、「当然、暮れの(政府と自民党それぞれの)税制調査会で議論されることになる」と述べ、2016年度からの導入も視野に早期実現を目指す考えを示した。また、29日付で財務、総務両省と内閣府の実務担当者による検討会議を設置したことを明らかにした。 

 総務省財務省、まち・ひと・しごと創生本部(本部長・安倍晋三首相)などは29日午後、菅義偉官房長官が創設の検討を指示した「企業版ふるさと納税」制度について、実務担当者による初会合を開き、議論を始めた。宮下一郎財務副大臣が定例記者会見で明らかにした。
 企業版ふるさと納税は、個人が出身地などの地方自治体に寄付した場合に所得税や個人住民税が控除される「ふるさと納税」の対象を、法人にも広げる制度。菅氏が28日に創設を表明し、制度設計の検討を事務方に指示していた。
 宮下副大臣は「法人住民税や法人事業税など企業の地方税の対応が課題になるのではないか」と指摘。その上で「財務省としては、必要に応じて関係府省と共に検討に参加したい」と述べた。

本両記事では,政府におけるふるさと納税制度の検討方針を紹介.
2015年6月28日に提案された同制度の「企業版」の設計方針.第2記事,第3記事でも紹介されている通り,翌同月29日に「まち・ひと・しごと創生本部」*1において「財務,総務両省と内閣府」の「実務担当者」による「会合」において「制度設計の検討」を開始された模様.現行のふるさと納税制度と同様に「寄附金控除方式」*2となる場合の税目等の今後の検討過程は,要経過観察.

*1:首相官邸HP( 会議等一覧)「まち・ひと・しごと創生本部

*2:持田信樹『地方財政論』(東京大学出版会,2013年)148頁

地方財政論

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