大阪府が、知事部局が受け持つ私立学校や府立大学への指導を府教委に委ねる方向で検討していることが分かった。公立と私立の幼稚園から高校までを一元的に指導する「教育庁」を設ける構想で、早ければ来年度から実現を目指す。私学の所管を教育委員会に移した例はあるが、公立大学の移管が実現すれば全国初とみられる。私学関係者からは「私学の魅力である多様性が失われるのでは」との懸念も出ている。
 松井一郎知事(おおさか維新の会代表)が検討を指示した。橋下徹前知事や松井知事は、私立高校の授業料を無償化するなど公私間の切磋琢磨(せっさたくま)を促す政策を進めてきており、その一環とみられる。地方教育行政法は、公立学校に対する指導や助言、人事などの権限は教育委員会が受け持ち、私立学校については原則、都道府県知事が直轄するとしている。公教育の政治的中立性や継続性を確保するためだ。地方自治法の規定では、私学の所管を教育委員会に移すことは可能で、全国では秋田県が業務を教委に移している。ただ、私学の数が少なく、100校近い私立高校を抱える大阪府とは事情が異なる。
府内のある私学幹部は「私学にはそれぞれ建学の精神があり、多様性や独自性が守られなければならない。所管が移ることで、そうした魅力を壊さないようにしてもらいたい」と注文を付けた。【大久保昂】

本記事では,大阪府における教育委員会への事務委任の取組方針を紹介.
現在,同府に設置されている「私学・大学課」に分掌されている「私立学校に関すること」「公立大学法人大阪府立大学に関すること」*1事務を,本記事によると同府教育委員会へと事務委任する方針の模様.学校事務の「統合」*2となる同取組方針.実施状況は,要経過観察.

*1:大阪府HP(府政運営・市町村条例・規則・公報等大阪府例規集インターネット版について)「大阪府処務規程」(昭和二十八年二月一日,大阪府訓令第一号庁中一般)

*2:村上祐介『教育行政の政治学』(木鐸社,2011年)57頁