大阪府知事の退職金制度が次の知事から廃止されることになった。府の特別職報酬等審議会が31日午前、退職金をやめ、その分を毎月の給料に上乗せするよう求める答申・意見具申を決めた。廃止により、知事が受け取っている報酬の全体像を見えやすくする狙いがある。松井一郎知事は受け入れる方針。府によると、実現すれば退職金の制度廃止は都道府県で初となる。
 府知事の1期4年の退職金額は2012年、従来の条例で定めた4176万円から628万8千円へ85%削減。答申によると、ボーナスが算式によって連動して増える分を調整した上での月給は、現行の3割カットを含まない条例上の金額で、131万円から150万円に上がる。部長級職員の給料水準が上がっているのに合わせ、来年4月からは152万円にする。

本記事では,大阪府における特別職の報酬等に関する検討結果を紹介.
同府が設置されている「特別職報酬等審議会」では,2015年8月31日に開催された第5回の同審議会で,「知事及び副知事の給料の額」に関する答申及び「知事及び副知事の退職手当のあり方」「行政委員の報酬等の額」「教育長の給料の額」*1に関する意見具申をとりまとめている.本記事では,意見具申である知事の退職手当について紹介.
同意思具申では,「在任中の勤務に対する報償的な考え方が基本にある」ことを「踏まえ」つつ「議論」されたなかで,「公選職である知事」に「在任中の勤務に対する報償としての退職手当を支給することは性質上なじみにくい面もあること」,「民間企業」の「役員の退職慰労金が廃止傾向にあり」「廃止後は役員報酬に振分していること」,同府の「中小企業数が全都道府県の中でも多く」「従業員規模が小さくなるほど役員 退職慰労金制度がない傾向にあること」,「府民に対する透明性を高めるべきこと」を「考慮」*2し,同意見具申では,「退職手当を廃止」したうえで,2011年度の「意見具申を受け適正化されている退職手当の額を給料の額に復元することが適当」*3との意見が示されている.また,実施時期は,「次期知事の任期から」が「適当」*4ともされている.
「カネはヒトを支える」*5とも解されるなかで,同手当を「1ヵ月相当に割戻」し「給料の額に復元」*6するための審議過程は,要経過観察.

*1:大阪府HP(府政運営・市町村総務・人事大阪府特別職報酬等審議会大阪府特別職報酬等審議会開催状況(平成27年度))「資料2(案)特別職の報酬及び給料の額等について(答申及び意見具申)

*2:前掲注1・大阪府(資料2(案)特別職の報酬及び給料の額等について(答申及び意見具申))2頁

*3:前掲注1・大阪府(資料2(案)特別職の報酬及び給料の額等について(答申及び意見具申))2頁

*4:前掲注1・大阪府(資料2(案)特別職の報酬及び給料の額等について(答申及び意見具申))2頁

*5:田尾雅夫『公共マネジメント -組織論で読み解く地方公務員 (有斐閣ブックス)』(有斐閣,2015年)58頁

公共マネジメント--組織論で読み解く地方公務員 (有斐閣ブックス)

公共マネジメント--組織論で読み解く地方公務員 (有斐閣ブックス)

*6:前掲注1・大阪府(資料2(案)特別職の報酬及び給料の額等について(答申及び意見具申))2頁