前橋市は本年度、コンベンション（大規模な会議）や訪日外国人の需要増を見込み、市独自の宿泊施設の誘致策を創設した。新規の建設で大きな会議場の設置など条件を満たせば、土地と建物、償却資産にかかる固定資産税と都市計画税を五年間、実質的に免除する。民間投資の呼び水にしたい考えだが、同様の制度を導入した他府県の市で誘致は実現しておらず、ＰＲなどで工夫が必要とみられる。 （川田篤志）
対象は、国際観光ホテル整備法に基づく「外国人が安心して宿泊できる施設」として、観光庁に登録されたホテルや旅館。
洋室の造りや外国人に応対する責任者の配置などハード・ソフト両面で基準を満たす必要がある。ほかに宿泊客以外も使える大きな会議場の設置も条件＝イラストはイメージ。
施設側が固定資産税と都市計画税を完納後、市が相当額を補助する。
県内初の取り組みで全国的にもあまり例がない。市は、二〇二〇年の東京五輪・パラリンピックなどを見据え、新たな前橋の顔となる宿泊施設を誘致したい考え。山本龍市長は十一日の会見で「宿泊施設の不足を感じており、受け皿の拡大に向けて取り組みたい」と意欲を見せる。
ただ前橋に先駆けた他市で成果は出ていない。
静岡県富士宮市は、富士山の世界文化遺産登録による需要増を見込み、ホテル誘致に向けた同様の補助制度を創設。だが導入した一三年九月から現在まで支援実績はなく、担当者は「客室数や会議場設置などの要件がハードルになっているかも」と嘆息する。
大阪府高槻市も昨年四月、同様のホテル誘致奨励金を設けたが、補助実績はゼロ。担当者は「問い合わせは多かったが駅前に余った土地が少ない点も響いた。今後は市有地も活用できないか検討している」と説明した。
前橋市の担当者は「東京に近い前橋の立地などをアピールしていきたい」と話した。
◆既存施設改修は最大１０００万円支援
前橋市は市内の既存ホテルや旅館を対象に無線ＬＡＮの導入など訪日外国人向け改修費の補助制度も合わせて新設した。国際観光ホテル整備法に基づく観光庁の登録を済ませることが条件で、登録を促す狙いもある。
登録基準を満たすための客室やロビーなど施設改修費のほか、会議場の整備や案内看板の多言語化、無線ＬＡＮやクレジットカード精算機の導入などが対象。必要な費用の半額までで最大１０００万円支援する。
市によると、市内の約５０軒の宿泊施設のうち、同法に基づく登録ホテル・旅館は５軒（１月末時点）。４０万〜５０万円ほどかかる登録費も事業者が二の足を踏む原因になっているといい、今回はこの費用も支援対象に入れた。
昨年は年間約５０００人の外国人が市内に宿泊した。市の担当者は「今後も増えるはずで外国人誘客やコンベンション誘致に向け登録や整備を後押ししたい」と話す。
前橋旅館ホテル協同組合は取材に「補助金を活用したいという声も聞く。制度があるなら登録に向けて頑張る施設も出てくると思う」と評価した。
本記事では，前橋市における宿泊施設誘致の取組を紹介．
同市では，「前橋市宿泊施設誘致改修支援事業補助金」*1として２種類の補助金を整備．一つは，「新規宿泊施設誘致支援補助金」として，「前橋市内全域」で「旅館業法に規定する宿泊施設を新たに市内で開業し」「その土地，家屋，償却資産にかかる固定資産税及び都市計画税の納税義務者」を対象に，「宿泊者以外も利用できる一定規模の」「会議室，レストラン，宴会場等」の会議施設」を「設置」し，「国際観光ホテル整備法に基づく登録を取得」を行い，「市税を完納している」場合に，「固定資産税・都市計画税相当額の補助」を「5年間」「支援」*2する．
もう一つは，「インバウンド対応宿泊施設改修支援補助金」となり，同じく「前橋市内全域」で「旅館業法に規定する宿泊施設を市内で営業しているもの」を対象に，「国際観光ホテル整備法に基づく登録を取得済みもしくは取得」し，「市税を完納している」場合，「宿泊者以外も利用できる一定規模」の「会議室，レストラン，宴会場等」の会「議施設」の「整備・改修費」，「外国人観光客対応に必要な宿泊施設の整備・改修費」，「客室，食堂，ロビー，玄関，フロント，浴室，トイレ，エレベーター・エスカレーター等」の「建物・設備」の「整備・改修」，「備品の整備，公衆無線LAN環境の整備，看板の多言語整備，クレジットカード精算設備，外貨両替設備，国際テレビ受信設備等の整備等」，これらの「整備・改修を伴う」「国際観光ホテル整備法に基づく登録取得にかかる費用」の「1／2以内」「上限1000万円」の「補助」*3を実施．以上の「経済的誘因提供」*4による宿泊施設整備の取組．整備状況は，要観察．
