全国初の罰則つき路上禁煙条例を施行して15年になる千代田区で、処分件数がここ数年で増えている。路上喫煙者に科される2千円の過料を支払わない「逃げ得」も横行している。
 朝のJR東京駅。「条例は千代田区のヒット商品。歩きたばこやポイ捨ては自分の心も捨てること」。石川雅己区長の激励を受けた区の新入職員らは、ティッシュを配り路上禁煙への協力を呼びかけた。区の担当者は「東京駅周辺や官庁街での喫煙は少ないが、神田駅や秋葉原駅といった繁華街では目立つ」と話す。
 実際、過料の処分件数は増加傾向にある。歩きたばこへの苦情などから路上禁煙条例が施行されたのは2002年。処分件数は06年度の1万799件をピークに、一時5千件台に減少したが、13年度から3年連続で7千件を超えている。
 路上禁煙地区は皇居をのぞく区内全域に広がったが処分件数には地域差がある。最新の15年度のデータでは霞が関地区は32件だったが、秋葉原地区で2652件、水道橋・神保町地区で1339件、神田地区で1282件と突出。繁華街で多いことから、区は他地区からの来訪者が件数を押し上げていると見ている。
 違反しても過料を支払わない人もいる。15年度の処分件数7207件のうち未納は1044件。違反者の約75%がその場で納付したが、後日納付を選んだ人のうち7割近くが期限内に支払わなかった。区では督促状を送るなどしているが、住所や氏名はあくまで本人申告によるもので、徴収に限界があるのが実情だ。
 区では路上禁煙の推進と共に、路上での喫煙を減らすため、屋内喫煙所づくりにも力を入れてきた。区の担当者は「たばこを吸う人も吸わない人も共存できるような街づくりを進めたい」と話している。

本記事では,千代田区における千代田区生活環境条例の実施状況を紹介.
2009年4月12日付及び2010年2月16日付の両本備忘録でも記録した同区の同条例.本記事では,2002年「10月1日」の「施行」*1から「15年」となるなかでの,「路上喫煙過料処分件数」*2と処分状況を紹介.処分件数は,本記事でも紹介されている通り,2006年の「10,799」件以降,2010年には「5,684」件,2011年に「5,874」件と「5千件台に減少した」ものの,2015年の「7,207」*3件のように,「3年連続で7千件を超えて」いる.他方で,本記事によると,「違反者の約75%がその場で納付」したものの「後日納付を選んだ人のうち7割近くが期限内に支払わな」い状況にある模様.「軽微な違反行為」として「黙認」*4されるのか,今後の対応状況は要観察.

*1:千代田区HP(まちづくり・環境生活環境生活環境条例 )「千代田区生活環境条例のあらまし

*2:千代田区HP(まちづくり・環境生活環境生活環境条例 )「 路上喫煙過料処分件数

*3:前掲注2・千代田区(路上喫煙過料処分件数)

*4:森田朗『新版 現代の行政』(第一法規,2017年)178頁

新版 現代の行政

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