医療費削減を目指す福井県の「薬もらいすぎない運動」が成果を上げている。患者のお薬手帳と服用薬から重複投薬や残薬がないか、調剤薬局が2016年度に各医療機関に問い合わせた件数は1万5511件と前年度から倍増。重複投薬の解消に伴い、患者が支払う医療費の削減効果は約4653万円に達した。県は「かかりつけ薬局を持ってもらい、薬剤師に薬や健康相談をしてほしい」と呼び掛けている。
 高血圧や糖尿病など慢性疾患のある患者は毎日薬の服用が必要となるため、飲み忘れがあると薬が残る。複数の疾患がある人は、複数の医療機関を受診しており、胃薬などが重複して処方されることが少なくない。厚生労働省の推計では、11年度の残薬は年間500億円となっている。
 県は15年度に「薬もらいすぎない運動」をスタート。複数の医療機関を受診する75歳以上の高齢者向けに「お薬バッグ」を2万4千枚作製し配布した。
 県内276の調剤薬局お薬手帳と服用薬を持ち込むと、薬剤師がチェック。重複などがあれば、処方した医療機関の医師に連絡、指示を仰いでいる。
 運動展開前の14年度は、薬局から医療機関への問い合わせは4746件だったが、運動を始めた15年度は7011件、16年度は1万5511件に伸びている。1件当たり約3千円の医療費削減が見込まれることから、16年度の削減効果は15年度より約2550万円増えた計算になる。
 県薬剤師会の高畠栄一会長は「複数の医療機関を受診しても、1カ所の薬局で薬を処方してもらえば重複は避けられる」とかかりつけ薬局の重要性を説明する。
 県医薬食品・衛生課は「きちんと薬を服用することが基本」とした上で、「患者から医師に対し『薬が余っている』などと言ってほしい。専用のバッグでなくても構わないので、薬を薬局に持って相談して」と話している。

本記事では,福井県におけるお薬の調剤・処方量管理の取組を紹介.
同県では,「お薬を使っているかを自分以外の」「医師・薬剤師等」の「第三者に伝えるため」「お薬手帳*1とともに,「重複投与による副作用」の防止と「無駄な医療費を削減する」ことを目的に,「自宅」の残る「お薬」を入れ「薬局」にいくための「お薬バッグ」*2を配布.同バックにより「薬局」の「薬剤師がそのお薬を確認し,整理」*3する.本記事では,これらの取組による効果として「患者が支払う医療費の削減効果」が「約4653万円」であったことを紹介.同バックを持参するための慣行に対しての「制御」*4状況は,要確認.

*1:福井県HP(組織一覧医薬食品・衛生課)「お薬を正しく使いましょう

*2:福井県HP(組織一覧医薬食品・衛生課)「「お薬バッグ」を配布しています。

*3:前掲注2・福井県(「お薬バッグ」を配布しています。)

*4:森田朗『新版 現代の行政』(第一法規,2017年)149頁

新版 現代の行政

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