社会問題化している「空き家」の増加に対応しようと、燕市は今春にも、県宅地建物取引業協会など5団体と「空き家等対策連絡協議会」を発足させる。各団体が連携してそれぞれの得意分野を生かすことで、空き家の管理から活用、相続まで一元的に扱い、総合的な空き家対策を講じる。市によると、同様の協議会を設立するのは全国でも初めてだといい、2016年度当初予算案に同協議会事業費35万円など空き家対策費計3977万円を計上した。【真野敏幸、金沢衛】

市長「段階ごとに適切対応」
 「空き家がどの地域にあるか、早期に確認・把握することで、管理不全になる前に指導できる。協議会を活用し、空き家の段階ごとに適切な対応をしていきたい」。22日の記者会見で、鈴木力市長は協議会を活用した空き家対策の充実に期待感を示した。
 協議会に参加するのは、県宅地建物取引業協会(売買、賃貸)▽市シルバー人材センター(適正管理)▽市建設業協同組合(補修、リフォーム)▽県司法書士会(相続など権利関係の相談)▽市自治会協議会(地域の見回り)−−の5団体。市は昨年6月以降、各団体と相次いで協定を結んできた。
 市によると、市内の空き家数は昨年8月時点で625件。うち45件が管理されていない「危険な空き家」だという。市では撤去や改修費用の助成制度を設けるなど削減への取り組みを進めてきたが、管理や活用、相続など各段階ごとに対応する団体や企業が異なることが課題だった。
 今回の協議会設置で、空き家を一元的に管理・活用できると同時に、総合的な対策を立てることが可能となる。協議会では、市の空き家対策や数値目標などについて話し合う予定だという。
 空き家は、地域の過疎化に伴い全国的に増加傾向にあり、政府は2025年に500万戸に増えるとされる空き家を400万戸に抑える数値目標を今年度初めて策定した。総務省の「13年住宅・土地統計調査」によると、県内の空き家数は約13万2000戸。住宅全体に占める割合は13・6%で、初めて全国平均(13・5%)を上回った。特に近年は、持ち主が首都圏に移住するなどして、そのまま放置される空き家が問題となっている。人の手が入らないと老朽化が早く、雨漏りやカビの発生といった衛生面に加え、不審火など治安悪化の懸念もある。さらに積雪の多い地域では雪の重みで倒壊するケースもあり、対策は喫緊の課題となっている。

小千谷市も協定
 小千谷市は今月1日、県宅地建物取引業協会と、市内への移住を促す空き家情報バンク制度の運用に関する協定を締結した。市では07年度に市内の空き家情報を提供する制度を始め、これまでに21件の物件を登録。だが、売買や賃貸が決まったのは16件にとどまっている。協定により、空き家情報を共有化し、専門家が物件の査定や仲介を図ることで、円滑で安全な取り引きを進められるという。

本記事では,燕市における「空き家等対策連絡協議会」*1の設置を紹介.
同市では,「空き家の利活用を図りたいがどこに相談して良いか分からない等の事情から放置され」「周辺に悪影響を及ぼす状態となっている空き家」を「増やさず」「管理が良好な状態を維持し」「次の利活用に踏み出す体制を構築する」ことを目的に,5つの「団体と協定を締結」*2.具体的な「業務内容は,「公益社団法人燕市シルバー人材センター」は「空き家の見回り,草刈り,樹木のせん定,冬囲いなど」,「燕市建設業協同組合」は「空き家の補修,リフォーム,雪下ろし,除雪など」,「公益社団法人新潟県宅地建物取引業協会」は「空き家の賃貸,売買,今後の活用相談など」,「新潟県司法書士会」とは「相続等の権利関係の相談など」,「燕市自治会協議会」は「見回り・情報提供など」*3となる.複数組織間の連携による空き家管理の「実効性」の「担保」*4の状況は,要観察.

*1:燕市HP(まちづくり都市計画)「空き家等の対策に関する協定団体のご紹介

*2:前掲注1・燕市(空き家等の対策に関する協定団体のご紹介)

*3:前掲注1・燕市(空き家等の対策に関する協定団体のご紹介)

*4:伊藤正次「多機関連携としてのローカル・ガバナンス」宇野重規, 五百旗頭薫編『ローカルからの再出発 日本と福井のガバナンス』(有斐閣,2015年)98頁

ローカルからの再出発--日本と福井のガバナンス

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