南伊豆町と東京都杉並区が整備した特別養護老人ホーム(特養)の完成式が4日、同町加納で開かれた。都市部の要介護者を地方で受け入れる全国初の自治体連携事業。杉並区は入所を希望する待機者の解消、過疎化に直面する南伊豆町地域活性化を期待する。
 区によると、現在の待機者は約千人。小学校跡地などを利用して特養整備を進め、2010年に比べて半減したが、依然として多くの高齢者が入所の順番を待っている。
 開設場所が限られる都心に比べ、地方は広い土地を低予算で確保できるという。田中良区長は「ゆったりと過ごせ、区民の選択肢が広がる。全国のモデル事業になる可能性がある」と指摘する。
 急速な人口減少が進む同町は雇用と消費拡大、交流人口の増加を見込む。同町を含む賀茂地域は高齢化率が4割を超え、待機者増は同様に課題で、圏域の解消にもつなげる。
 定員90人のうち、50人前後は同区民を想定。2月末時点の申込者は107人で、半数の52人は区民だった。運営する社会福祉法人「梓友会」(下田市)が要介護度や家族構成などを基に入所者を順次選び、5日から受け入れを開始する。
 施設は3階建て、延べ床面積は5968平方メートル。定員10人の短期入所と同20人の通所介護サービスも提供し、名称は「エクレシア南伊豆」とした。施設内には家族の宿泊用2部屋を用意。整備費18億8千万円のうち約3割を杉並区、2割を県が助成した。
 敷地は町有地で、隣接地に町が健康福祉センターを建設する。岡部克仁町長は「福祉の拠点として一体的に整備する」と話した。

本記事では、杉並区と南伊豆町における特別養護老人ホーム開設を紹介。
2014年12月12日付2016年12月1日付2017年7月21日付の各本備忘録で記録した同区と同町における区域外特別養護老人ホーム整備の取組。2018年「3月5日」に「自治体間連携による特別養護老人ホーム」が「開設」*1。「入所対象者」は「原則要介護3以上」、「定員」は「90床」*2となる。「遠隔型連携」*3により開設された同施設。今後の運営状況は、要観察。

*1:杉並区HP(新着更新情報一覧区からのお知らせ平成30年3月)「自治体間連携による特別養護老人ホーム「エクレシア南伊豆」が開設します(30年3月1日)

*2:杉並区HP(くらしのガイド高齢者の方へ高齢者向け施設)「自治体間連携による特別養護老人ホーム

*3:千葉尚樹「東京都杉並区の遠隔型連携に関する取組み」公益財団法人日本都市センター『自治体の遠隔型連携の課題と展望 新たな広域連携の可能性』(公益財団法人日本都市センター,2017年)21頁

自治体の遠隔型連携の課題と展望-新たな広域連携の可能性-

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  • 作者: 横道清孝,伊藤正次,西田奈保子,辻一郎,木村俊介,高田秀和,檜槇貢,千葉尚樹,公益財団法人日本都市センター
  • 出版社/メーカー: 公益財団法人日本都市センター
  • 発売日: 2017/05/12
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