南伊豆町静岡県、東京都杉並区が整備する特別養護老人ホームの起工式が29日、同町加納の現地で開かれた。都道府県の枠を超えた自治体連携による特養開設は全国初。都市部の高齢者を地方で受け入れる先駆事例として、区は深刻な施設不足による入居待機者の解消、町は雇用創出など地域活性化につながると期待する。
 指定業者の梓友会(下田市)が町有地に建設、運営する。町が町立図書館の隣接地9414平方メートルを提供。このうち、特養の敷地は6620平方メートルで、木造一部鉄筋コンクリート造り3階建て。町が隣に地域包括支援センター社会福祉協議会多目的ホールなどが入る健康福祉センターを建設する。
 特養建設には県と区が補助金を支給する。開所は2018年1月の予定。定員90人のうち50人は区民の利用を想定し、定員10人のショートステイと同25人の通所介護サービスも行う。
 起工式には3自治体や施工業者の関係者ら約60人が出席。梅本和熙町長は「杉並区との自治体交流をさらに推進していきたい」とあいさつした。
 区によると10月末時点の入居待機者は約1300人。13年度の調査では、待機者のうち3割が区外での入居を受け入れる意向を示したという。
 ■人口減少に強い危機感
 南伊豆町と東京都杉並区は特別養護老人ホームの整備に加え、同町湊の弓ケ浜近くにサービス付き高齢者向け住宅100戸を開設する。背景には「このままでは人口が減少する一方」(梅本和熙町長)との強い危機感があり、地方での生活を希望する定年退職者らの移住を促す。
 人口減少対策として、子育て世帯や20〜30代の独身者を呼び込みたいのが各自治体の本音だ。だが、伊豆半島最南端に位置する南伊豆町は地理的に不利な条件を抱え、自治体間の移住誘致競争も激化している。このため、意欲的にさまざまな活動に取り組む「アクティブシニア」を対象にした住宅街を形成し、2019年度の供用開始を予定する。
 社会保障費の増大につながる可能性もあるが、町は認知症や寝たきり予防事業などを通し、「生涯活躍するまちづくり」を目指す。

本記事では,杉並区と南伊豆町における特別養護老人ホーム整備の取組.
2014年12月12日付の本備忘録で記録した,同区による同町における区域外特別養護老人ホーム整備の取組.本記事によると同町内にて「特別養護老人ホームの起工式」が行われた模様.今後の「移住環境の整備」*1状況は,要観察.

*1:増田寛也編著『東京消滅 介護破綻と地方移住』(中央公論新社,2015年)64頁