静岡県は3日、2020年東京五輪パラリンピックへの対応や県民の健康寿命延伸を目的に制定する県受動喫煙防止条例(仮称)の骨子案をまとめ、パブリックコメント(意見公募)を始めた。学校や保育所などは屋外喫煙所の設置を認めないとして、7月に成立した改正健康増進法よりも踏み込んだ。しかし、飲食店に対する規制は例外措置がある改正法の範囲内にとどまり、県条例制定の効果は見通せない。
 骨子案は、県独自の取り組みとして▽小中学校や高校、保育所や幼稚園など子どもが過ごす施設は敷地内禁煙とし、屋外喫煙場所の設置も不可にする▽飲食店は「禁煙」「分煙」「喫煙可」のいずれかの標識を出入り口に掲示することを義務づけ。指導や勧告に従わない場合は店名を公表する―を盛り込んだ。
 改正法は多くの人が集まる建物内を原則、禁煙としたが、客席面積100平方メートル以下の既存店は例外としたため、厚生労働省は55%の飲食店が喫煙可と試算した。県条例の骨子案には、規制対象を拡大する内容は盛り込まれなかった。
 県によると、飲食店に客席面積の届け出義務はないため、県内で例外の扱いを受ける飲食店が実際にどれほどあるかは分かっていない。県は8月中に、県内の飲食店約3千店を対象に実態調査を行い、客席面積や法改正を受けての対応方針を調べるという。
 県健康増進課の担当者は「改正法で新規開店は原則禁煙で、段階的に対策は進んでいく」と説明した。
 パブリックコメントは23日

本記事では、静岡県における動喫煙防止規制の取組を紹介。
同県では「受動喫煙防止対策の強化を目的」とする「健康増進法の一部を改正する法律」の「成立」を踏まえて、同県の「取組を加速させる必要」との認識から「受動喫煙の防止を目的とする条例の制定」にむけた「骨子案」*1を公表。同規制では、「受動喫煙による健康被害を受けやすい子どもを守る」ことを目的に「学校等」を「敷地内禁煙」とし「屋外喫煙場所の設置も不可」とすること、ただし「努力義務」*2。また、「喫煙者・非喫煙者それぞれが安心して快適に飲 食を楽しむことができる環境を整備する」ことを目的に、「飲食店」は「禁煙」、「分煙」、「喫煙可」の「いずれかの標識を出入口に掲示することを義務付け」、「指導・勧告に従わない悪質な場合は、店名公表」*3を行うこととされている。パブリックコメント後の条例制定過程における、既策定自治体による条例の「参照」*4状況も要観察。

*1:静岡県HP(健康・福祉医療健康増進課)「パブリック・コメント(静岡県受動喫煙防止条例)

*2:静岡県HP(県政情報行政改革・情報公開静岡県の情報公開審議会等の概要や会議録政策形成過程情報の公表 )「計画等の案の概要

*3:前掲注1・静岡県(計画等の案の概要)

*4:秋吉貴雄,伊藤修一郎,北山俊哉『公共政策学の基礎』(有斐閣、2010年)、260頁

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)