佐賀県武雄市は本年度に実施する職員採用試験を案内するホームページに「求めない人材」を掲載している。「話題になって武雄市への関心が高まり、応募が増えれば」(総務課)と、初めてコンテンツに加えた。反応もまずまずだという。
 「夢を描けない」「役割に壁をつくる」「事なかれ主義」など、求めない人材として14項目を列記した。「要領こそがすべてと思っている」「相手によって裏表を使い分ける」などもある。総務課の若手職員が企業のホームページなどを参考に“武雄市版”を考えた。
 1日から公開し、フェイスブックなどで情報が拡散され、「うちの会社、求めない人ばかり」「3項目ひっかかった」などのコメントがついている。市職員は「現役の職員にも向けられたメッセージとして受け止めたいと思います」と紹介。閲覧した人は年齢制限や遠隔勤務の可否など書き込み、採用の条件を尋ねている。
 小松政市長も自身のフェイスブックに「初めて知りました(苦笑)。うちの総務課、確信犯的なのがいいですね」と書き、拡散している。
 <求めない人材>
夢を思い描けない人
自分の役割に壁をつくる人
考えるのが億劫(おっくう)な人
無関心・無感動な人
事なかれ主義の人
心身の健康管理ができない人
周囲の雰囲気を暗くさせる人
変化より安泰を望む人
要領こそがすべてと思っている人
自己中心的な人、人の話をきかない人
自分とは違うやり方を認めない人
他人のせいにばかりしている人
相手によって裏表を使い分ける人
人に頼れない人(頼りすぎる人)

本記事では、武雄市における職員採用の取組を紹介。
同市の2018年度の職員採用では、同「市役所へ就職を希望」する「方が」「事前に」「自身の適性や能力と照らし合わ」「やすい」ように、本記事でも紹介されている通り「求めない人物像」*1を紹介。同取組により「人物像が少しでも」「互いのミスマッチの回避につながること期待」*2されている。
他方で、「求める人材・めざす職員像」*3も掲載。これらは5つの項目がある。まず一つめは「創造力あるひと」であり、常にアンテナを高く張り 柔軟な発想のもと自分の頭で考え 新しい何かを生み出す 創造力あるひと」*4であること。二つめは「情熱あるひと」であり、「このまちやひとに思いを持ち 忍耐強く一途に打ち込み 周りを巻き込んでいくような情熱あるひと」であること。三つめは「人と想いをつなげるひと」では「人と接する機会が多い市役所で 対話を重視し、様々な場面で 人と人、想いと想いをつなげるひと」*5であること。四つめは「向上心を持ち続けるひと」*6であり、「与えられた職務のみをこなすのではなく自分の職務を自分で見直す 問題意識や改善意識を持ち 向上心を持ち続けるひと」*7であること。最後に「組めるひと」であり、「1人でできることは限られている 地域×市役所×企業 あらゆる立場の方々とどんどん組んでチームで目的を達成できるひと」*8であることを求めている。これらの項目は「市役所での業務や研修を通じて育成」するとしており、「採用時点で完璧な人物を求めてはい」ないものの「基本となる部分が備わっているかどうかが採用選考においてのポイント」*9とされている。
「求める人材・めざす職員像」と「求めない人物像」を明示することで、「地域社会のために努力したいという人材」*10の選考過程の結果は、要観察。

*1:武雄市HP(武雄市職員採用情報平成30年度武雄市職員採用試験)「求めない人材

*2:前掲注1・武雄市([求めない人材)

*3:武雄市HP(武雄市職員採用情報平成30年度武雄市職員採用試験)「求める人材・めざす職員像

*4:前掲注3・武雄市(求める人材・めざす職員像)

*5:前掲注3・武雄市(求める人材・めざす職員像)

*6:前掲注3・武雄市(求める人材・めざす職員像)

*7:前掲注3・武雄市(求める人材・めざす職員像)

*8:前掲注3・武雄市(求める人材・めざす職員像)

*9:前掲注3・武雄市(求める人材・めざす職員像)

*10:北村亘、青木栄一、平野淳一『地方自治論 2つの自律性のはざまで』(有斐閣、2017年)48頁。

地方自治論 -- 2つの自律性のはざまで (有斐閣ストゥディア)

地方自治論 -- 2つの自律性のはざまで (有斐閣ストゥディア)