ホテルや旅館の宿泊客から徴収する「宿泊税」を巡り、共に導入を目指す福岡県と福岡市の対立が3日、激化した。県議会決算特別委員会で、県は県内市町村のうち75%が県税としての徴収を支持していることを公表、導入に向けた取り組みの加速を表明した。一方、市は宿泊税創設に向けた調査検討委員会の初会合を開催。県が前日の2日に申し入れた協議の場の設置について応じない意向を明らかにし、対決姿勢を鮮明にした。
 「早い者勝ちの論理で横暴だ」「県を欺いた動きはまさに言語道断だ」−。3日の県議会決算特別委。質疑に立った自民党県議団や国民民主・県政県議団の委員たちは、福岡市の対応に怒りをぶちまけた。
 宿泊税は県が市に先行して導入検討に着手。8月までに2回の有識者会議を開き、検討過程を市に説明してきた経緯がある。市側の方はまず市議会が今春から検討に入り、9月定例会で市に税導入を課す議員提案の条例案を可決。これを受け市が県に先手を打つ形で税創設方針を決めた。
 決算特別委で、市への不信感を募らせる県議から対応をただされた県は、県内全60市町村に対して行った意見照会の結果を報告。県が財源措置を講じることについて反対は福岡市のみで、45自治体が賛成だったとした。
 県商工部の岩永龍治部長は「多くの市町村から大変強い期待が寄せられている」として、11月に予定していた3回目の有識者会議の日程を前倒しする考えを表明。「まずは事務レベルで(市と)しっかりと調整を行いたい」と述べた。
 一方、市は同日午後、宿泊税の税率や徴収方法などを議論する調査検討委員会を初めて開催。着々と独自路線を突き進む。会合後、取材に応じた市観光コンベンション部の吉田宏幸部長は、協議の場に関する県の申し入れについて「県は検討過程なので、まず結論を出していただいて、協議のテーブルができるのではないか」と指摘。現段階では応じる考えのないことを明らかにした。福岡県と福岡市の距離は一向に縮まる気配を見せていない。

本記事では,福岡県における法定外目的税の検討方針を紹介。
2018年2月9日付の本備忘録にて記録した同県における同税の検討。同県の「観光の現状・課題」,「観光振興に必要な施策」,「各種財源の比較検討」,そして「財源確保策のあり方」の検討を目的に「福岡県観光振興財源検討会議」を「設置」し,2018年7月13日に「第1回」*1会議を開催。他方,福岡市では2018年9月議会において「議員提出議案」の「福岡市観光振興条例案」が「可決」*2。同条例案では「施策に要する費用に充てるため」「地方税法」「第5条第7項の規定に基づき,宿泊税を課する」ことして, 「前項に規定するもののほか,宿泊税については,別に条例で定める」*3ことが規定されている。2018年10月3日付の本紙では,同年同月2日に,同県から「両者が調整を図る協議の場の設置を市に申し入れ」*4をしたものの,本記事によると,同「協議の場の設置について応じない意向」が示されている。その後,同県では「県議会決算特別委員会」において同県に位置する「市町村のうち75%が県税としての徴収を支持していることを公表」された模様。市・県間で「相互乗り入れ」*5の対象への同課税の検討状況。今後の検討結果は,要観察。