佐賀県政運営の基本となる「県総合計画2011」の骨子案をもとにした意見交換会(対話形式のパブリックコメント)が7日夜から、武雄市を皮切りに始まった。大人にまじり武雄高校生9人が参加。事前学習して臨み、高校生の生活感覚による自由な発想で佐賀の将来像などについて6人が質問したり意見を発表した。会場には“高校生旋風”が吹いた。
 高校生の校外活動を支援している武雄市職員の中尾雅幸さん(49)=県に出向中=が仕掛け人。県総合計画は高校生の生活にもかかわる内容を含んでおり、学習を通して人材育成、進路選択に役立つと考え、同校の馬場信禎(のぶよし)教諭(46)に相談。馬場教諭が日本の次世代リーダー養成塾や県海外視察団などに応募した生徒に声を掛けた。県のホームページに掲載された計画の骨子案をもとに9人で事前学習。「佐賀県のここが足りない」「佐賀はここが良い」「こうしてほしい10年後の佐賀県」を論点にアイデアを出し合った。同市文化会館であった意見交換会では「海外視察団に参加して佐賀について知らないことを痛感した。もっと学校で佐賀や県の政策を教えるべき」「佐賀空港は東京便を強化するだけでは十分ではないと思う。ほかに利用客を増やす手立ては」「国内で佐賀をどう位置付け、発展させるのか」などと質問したり意見を発表した。15人中、6人が同校生徒による発言だった。
 県統括本部の担当者は「高校生の参加は初めてでびっくりした。予習しないと発言できない内容。しっかりと受け止めてくれ、こちらとしてもうれしい」と高校生の活躍を喜んだ。同校2年の古川夏月(かるな)さん(16)は「10年後は私たちが佐賀を担う。県の人から政策を聞いて、佐賀の将来を前向きに考えることができた」と話していた。

本記事では,佐賀県が策定されている『佐賀県総合計画2011(仮称)骨子案』*1への意見交換会の開催状況を紹介.
2011年7月7日付の同紙で「骨子案段階から議会の議論を反映させ」つつ「県民からも広く意見を募る」手続を採用されて策定されている同計画の骨子案.県民からの意見を集める方式は,本記事でも紹介されている「意見交換会」を7月「7日から県内5カ所で開」催されているほかにも,「電子メール」そして「インターネットのツイッターフェースブックからも提案」*2ができる,という.同意見募集の取組に関しては,同県HPを参照*3自治体行政の観察のために,下名もまた設けたtwiteerでしたが,本記事を拝読しますと,facebookも利用してみようかなあと思わなくもありませんね).
マニフェストを反映した重点項目を列挙」*4される,同県の同計画の骨子案.「マニフェストによる行政運営を突き詰めていけば,現在の総合計画が変革を求められることは不可避」とも解され,あわせて,「首長のマニフェストは議会の協力を得なければ多くの部分が実現できない」*5ものともなり,そのため「実現までに二重三重の調整が必要」*6との観察結果も示される「マニフェストと総合計画」の関係(先週末に参加させて頂きました研究会での,下名からの話題提供のテーマ.以前にも少し観察したことがありましたが,少し纏めてみたい観察課題でもあります).
議会,そして,県民との意見交換手続で示される様々な意見への「応答」*7を通じて,マニフェスト,計画骨子案,そして,計画案の内容を含めて,どのように「変換」*8されるのか.組織・機構との関係性も含めて,同過程もまた要経過観察.

*1:佐賀県HP(県政の運営施策「佐賀県総合計画2011(仮称)」についてのご意見を募集します「佐賀県総合計画2011(仮称)」骨子案についての意見を募集します〜県民のみなさまとの意見交換会も開催〜)「「佐賀県総合計画2011<佐賀県政策カタログ2011>(仮称)」骨子案」(統括本部,平成23年6月)

*2:佐賀県HP(2011年7月7日付)「佐賀県総合計画 県民から意見募集 ネットで提案可

*3:佐賀県HP(県政の運営施策「佐賀県総合計画2011(仮称)」についてのご意見を募集します)「「佐賀県総合計画2011(仮称)」骨子案についての意見を募集します〜県民のみなさまとの意見交換会も開催〜

*4:前掲注1・佐賀県(2011年7月7日付)

*5:伊藤修一郎「マニフェストと総合計画」『都市問題研究』第62巻第3号,2010年3月号,25頁

都市問題研究 2010年 03月号 [雑誌]

都市問題研究 2010年 03月号 [雑誌]

*6:前掲注5・伊藤修一郎2010年・27頁

*7:原田久『広範囲応答型の官僚制』(新山社,2011年)102頁

広範囲応答型の官僚制 ―パブリックコメント手続の研究 (学術選書64)

広範囲応答型の官僚制 ―パブリックコメント手続の研究 (学術選書64)

*8:大西一史「マニフェスト選挙と地方自治(五)」『自治研究』第87巻第4号,2011年4月号,109頁