欧米諸国にみる大都市制度 (日本都市センターブックレット)

欧米諸国にみる大都市制度 (日本都市センターブックレット)

本日は,大杉覚先生よりご恵与賜りました同書.大杉覚先生,誠にありがとうございました.
本書は,日本,アメリカ(ニューヨーク市),カナダ(トロント市),イギリス(GLA及びマンチェスター市),ドイツ(ハンブルク市),フランス(ストラスブール市)の各国各都市を対象に,「都市内分権」「広域連携」「経済競争力向上」のテーマから「現地調査」を通じて得られた事実をもととする論攷から構成されています.
各国の地方自治制度に関する知見を提供してくれる既存文献では,地方自治制度の前提条件や包括的な説明に力点が置かれることも多くあります.そのため,さらに知りたい,と思う情報をなかなか得られないことも多くあります.その点,本書は上記のように明確に論点を絞られていることで各テーマへの理解も深まり,加えて,現地調査から得られた,各大都市制度のもとで活動する人々の生の声も聞くことができ,各国の大都市制度の現在を理解する上では不可避な一冊と思いました.
例えば,ニューヨーク市内にある59のコミュニティ地区のお一人の地区マネージャーさんからの次の指摘は,業務活動と予算配分との間での難しさを感じることができ,なるほどと思いました.

もちろん業務量に著しい差があることもそうであるが,人口などを含めて地区間で際があるにも関わらず,各地区事務所に配分される予算は一律となっていることに対する不満である」(30頁)