東京都心で普及が進む貸し出し用電動自転車の共同利用(シェアリング)の利便性が、格段に広がる。個別にシェアリング事業を行う千代田、中央、港、江東の四区と都が三日、区を越えて自転車の乗降拠点を相互利用できる協定を結んだ。二〇一六年度中の実施の見込みで、舛添要一知事は「東京五輪に向け、世界の都市に負けないものにしたい」と期待した。
 自転車シェアリングは、貸し出し用自転車を複数の自転車置き場の間で自由に乗り降りでき、観光や買い物、会社員の通勤の足にも使われる。都心では江東区が一二年十一月に事業をスタートし、現在は自転車置き場二十一カ所で貸自転車三百台を運用。一四年十月に千代田、港区も始めた。中央区は一五年十月に参入する。四区の自転車置き場は計八十五カ所、貸自転車は計九百六十台になる。江東、千代田、港区の運営業者は同じだが、料金システムが異なるため、相互利用には共通化が課題。今後、外国人利用者への対応などを含め、都と四区で制度の詳細を検討する。都は自転車置き場の増設に向け、整備費を補助したり、都有地を提供したりする。
 三日の協定調印式で千代田区の石川雅己区長は「五輪のレガシー(遺産)にしたい」。港区の武井雅昭区長は「広域利用に大きな弾みがつく」と話した。自転車シェアリングは借りた場所と違う場所に返却できるのが特徴で、電車やバスと合わせれば移動がより快適になる。低環境負荷や健康増進、渋滞緩和、街のにぎわいをもたらす効果も期待されている。 (松村裕子)

本記事では,江東区千代田区,港区,中央区と東京都における電動自転車の共同利用の取組を紹介.同取組は,同都HPを参照*1
現在,江東区では「臨海部」に「21ステーション」を設置し「300台」が利用可能な現状にあり,「千代田区」では「区内全域」に「27ステーション」「250台」,「港区」は「環状2号線周辺地区」「港南地区」「六本木地区」に「17ステーション」「210台」,「中央区」では「区内全域」に「約20ステーション」,「約200台」が配置されている.そこで,4区と同都では,「各区の自転車シェアリング事業の円滑な実施」と「各区の自転車シェアリング事業の今後の広域的な相互利用の実現」のため「区と都が相互に協力」*2することを目的に「基本協定」を締結.これにより,本記事でも紹介されている通り,「4区の自転車置き場」は「計85カ所」「貸自転車は計960台」となる.
電動自動車の共同利用という「「政策ベース」の連携」*3となる同取組.本記事によると,東京都の役割は,「自転車置き場の増設」のための「整備費」の補助や「都有地」の提供にあると報道されており,東京都では各区間での場所の補完を果たす模様.実際に提供される「都有地」の現状は,要確認.

*1:東京都HP(これまでの報道発表2015年2月)「4区と都で自転車シェアリングの「基本協定」を締結 広域的な相互利用の実現に向けてし」に関する意見募集の結果について 平成27年2月17日,環境局

*2:前掲注1・東京都(4区と都で自転車シェアリングの「基本協定」を締結 広域的な相互利用の実現に向けて」(平成27年2月17日,環境局)

*3:伊藤正次「自治体連携の時代? 歴史的文脈を解きほぐす」『都市問題』vol.106,2015年2月号,55頁

都市問題 2015年 02 月号 [雑誌]

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