部下の仕事と家庭の両立を応援する上司「イクボス」を目指し、北九州市の管理職約560人が19日、“イクボス宣言”をする。研修会で育児休業を取りやすい環境づくりなどを学び、その実践度をボーナスの査定に反映させる。子育て環境の向上や女性の活躍促進につなげたい考えだ。
市によると、宣言するのは課長級以上の全員で、政令市で初の試み。「私生活の時間を取りやすいよう、会議の短縮や書類の削減などを進める」「両立のための支援制度の利用を促す」など、イクボス10カ条をまとめており、19日に式を行って参加者が宣誓する。7月には研修会を開き、意識向上を図る。各管理職は、部下の育休取得や時間外勤務の削減について1年間の目標を立て、年度末に達成度を確認。結果は人事考課の材料となり、部下の意見を評価に加味することも検討する。
市は、2013年度に6・1%だった男性職員の育休取得率について、19年度までに20%に引き上げるとしており、イクボスが目標達成を後押しする。
本記事では,北九州市における職場環境整備の取組を紹介.
同市の市長公約では,「部下の子育て環境などを理解」し「積極的に応援する上司」,いわゆる「イクボス」の「養成」*1が明記.2010年3月に策定された『北九州市職員の 次世代育成支援プログラム ~ワーク・ライフ・バランスの実現をめざして~』では,2015年3月までに「10%」*2を目標値として設定.本記事によると,2019年度「までに20%に引き上げる」よう,同市の「課長級以上」の「管理職」「約560人」が,2015年5月19日に「“イクボス宣言”」を行う予定.模様.同宣言を同市HP内で確認すると,「小倉北区」*3や「戸畑区」*4で「イクボス宣言」がされていることが分かる.同宣言は,以下の通り.
- 部下が,子育て・介護・地域活動などのライフに時間を割くことへ理解を示すこと
- 子育てや介護など,両立しながらがんばっている部下を応援し、勤務時間内でいかに成果をあげているかを正当に評価していること
- 両立のための支援制度などを知っており,自ら部下に取得を促すこと
- 管轄している組織全体に,ライフを軽視せず積極的に時間を割くことを推奨し広めていること
- 異動や業務分担など、部下のライフに大きく影響を及ぼすものについて,遠慮ではなく配慮をしていること
- 両立支援制度の取得者がいても,業務が滞らないよう,情報共有やチームワーク醸成など,管理職に求められるマネジメントを講じていること
- 部下がライフの時間を取りやすいよう,会議の短縮や書類の削減,意思決定の迅速化,業務改善などを進めていること
- 自分の上司や人事部門などに対し,職員のライフを重視したマネジメントをするよう提言していること
- ボス自らが,仕事,私生活,社会貢献というワーク・ライフ・バランスを重視し,楽しんでいること
- 組織の長として求められる責務を果たし,成果を上げていること
育児休暇の取得増加に向けた,「時間制約」の「意識化」*5をどのように進めていくかは,要確認.
*1:北九州市HP(市政情報:市長の部屋:市長公約)「市長公約」5頁
*2:北九州市HP(市政情報:財政状況・行財政改革:人事行政:北九州市職員の次世代育成支援プログラム:市職員の次世代育成支援にかかる取組み)「北九州市職員の 次世代育成支援プログラム ~ワーク・ライフ・バランスの実現をめざして~」(北九州市,平成22年3月)10頁
*3:北九州市HP(小倉北区:区政情報:各課からのお知らせ)「小倉北区イクボス宣言」
*4:北九州市HP(戸畑区:区政情報:各課からのお知らせ:新着戸畑ニュース:平成26年度)「戸畑区イクボス宣言」
*5:武石恵美子・佐藤博樹「時間意識の向上のためのモデル事業と働き」佐藤博樹, 武石恵美子編著『ワーク・ライフ・バランスと働き方改革』(勁草書房,2011年)111頁