東京都営バスを運営する東京都交通局は都内初となる大型広告付きの停留所を2009年度末までに100カ所設置する。従来は都の広告物条例で設置を禁じてきた。景観を害さないデザインであれば特例で認める。初年度は年間7000万円の広告収入を見込んでおり、バス停の設置費用などにあてる。広告の大きさは縦165センチ×横111センチ。2週間にわたって21カ所で広告を掲載した場合の料金は176万4000円だ。 広告付きの停留所は首都大学東京と共同開発した。柱と屋根の接合部に格子状の模様を使うなど景観に圧迫感を与えないよう工夫したという。すでに先月31日から、日本橋や日比谷、新宿など21カ所の停留所に設置している。今後、2年程度をかけて100カ所まで増やす計画だ。広告付きのバス停留所は、横浜市名古屋市といった国内の大都市では普及しているが、都は屋外広告物条例によりバス停留所での大型広告の掲示を規制していた。デザインが景観に合うか事前に審査する。

同記事では,東京都が,バス停で広告付きの停留所を導入したことを紹介.1期(2週間)を1,764,000円であるが,掲載前には交通局審査委員会のデザイン審査,掲出後は東京バス協会や第三者機関による定期的な審査・勧告を受けるとある*1
広告掲載の「事業」性と「景観利益」の両々相俟つ仕組みとなることが期待されるものの,恐らく,これからの喫緊の課題は「広告審査」にあるとも思う.先陣を切った横浜市では,ネガティブチェックのみならず,「①公共空間に提出されることを踏まえた,都市景観を向上させるものであること,②地域性を踏まえた,横浜らしいものであること,③事業の先進性を踏まえた,斬新で新鮮なアイディアを持っているものであること」の3つの基準を設けて審査を行ったものの,審査過程では検討委員会で「デザイン」性も指摘されたため,「不承認」「審査保留」となった事例も多くあったという*2.東京における審査基準は把握していないものの,「首都東京の景観・街並みにふさわしい」(同局HPより)広告となると,どのようなものであるか判断裁量が博いように思われる.首都東京にふさわしい広告となれば,一定の「景観利益」も想定され,広告の「洗練性」は不可避であることは確か.行政側と事業側のそれぞれの選好は必ずしも一致しないなか,マッチングが課題か.

*1:詳細な報道発表は,東京都交通局HP「ニュース 都営バス2008年3月27日【報道発表】新しい「広告付バス停留所」スタート!」を参照

*2:横浜市広告事業推進担当編著『財源は自ら稼ぐ!』(ぎょうせい,2006年)102〜104頁

財源は自ら稼ぐ!―横浜市広告事業のチャレンジ

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