休農地を活用したコスモス畑事業や地域の高齢者送迎サービスなど相模原市内各自治会のユニークな活動事例を紹介した冊子「地域力の達人」を同市が発行した。
 冊子は市内で魅力的な自治会活動を市職員が取材し、まちづくりや防犯、環境保全、福祉活動など計三十の事例を取り上げている。離農や就農者の高齢化で増える遊休農地を使って地域活性化に取り組む同市城山町の小松自治会(小松コスモス会)は、約七千平方メートルの畑にコスモス約五十万本を植えている。毎年秋の「コスモスまつり」には多くの来訪者があり、訪れた人々に三百円でコスモスの摘み取りをしてもらうなど、自主財源の確保にも努めている。また、同市城山町久保沢の久保沢自治会(ふれあい福祉の会)では、自治会所有の車や会員個人の車を使って、高齢者を病院などへ送迎するサービスを独自に展開。互いに支え合う地域の姿を紹介している。
 冊子はA4判、七十一ページ。四月以降、市内各自治会、地区社会福祉協議会、公民館などに順次配布予定。

同記事では,相模原市において,自治会の活動を取りまとめた冊子を作成したことを紹介.4月以降に,市内の各自治会,地区社会福祉協議会,公民館等に配付予定とのこと.
同記事から察するに,同冊子に掲載されている活動内容は,国・各都道府県・各市町村からの「協力を依頼」されて行われている「行政委嘱員」*1としての業務(いわば,「法定委嘱事務」か)以外の,いわば「自治事務」が中心的に掲載されているのだろうか.その活動財源の調達方法等を含めて,仕組みが紹介されていると興味深い.ただ,内容を拝見できないものかと思い,同市HPを確認させて頂くものの,現在のところ掲載されてない模様.残念.
内容を拝見していないため,同冊子の作成目的は判然とはしないもの,「592の自治会」*2がある同市において,約30事例を取り組む自治会以外においても「自治事務」を実施するうえでの「不確実性が逓減され」,市内自治会での「新政策の創造と採用が促進」されるような「相互参照行動」*3へと至る装置となることも期待できそうか.その場合,同冊子が,本年度のみの刊行とならず今後も毎年度刊行され,内容としても,アドホック的な「魅力的な活動」の紹介に止まらず,「自治事務」の「波及」の「動態」までを含めて発刊されると,貴重なメディアになるとも考えられそう.

*1:西尾勝『行政の活動』(有斐閣,2000年)163頁

行政の活動

行政の活動

*2:相模原市HP(自治会)「相模原市の自治会組織について

*3:伊藤修一郎『自治体政策過程の動態』(慶応義塾大学出版会,2002年)285頁

自治体政策過程の動態―政策イノベーションと波及

自治体政策過程の動態―政策イノベーションと波及